あなたは高峯神社に行ったことがあるだろうか。
まだ行ったことがないのなら、ぜひ行ってみてほしい。
風渡る高峯神社。
向こうの谷の間から、遠くの山々の嶺から吹いてくる、凛とした風。
本殿へと続く苔け蒸した参道の前に立つと、枝々の間を通り抜けた木漏れ日がちらちらと揺れ、朝露を含んだ苔が静かに自ら光を放つ。
鳥居をくぐり、一段、一段を登る。
木々のどこかに隠れているのか、遠くで鳥の鳴き声が聞こえる。遠く向こうから聞こえるような、それでいて耳元でささやくような音は、木の葉たちが揺れる音。
境内へ向かう階段の両脇に立つ石灯篭には、かつてこの神社へ寄付をした人の名前が刻まれている。
はるか遠い昔にこの石段を登ってきた人たちも、きっとこの風を感じながらここに立っていたのではないだろうか。
その人たちの気配をそばに感じる。
歴史は繰り返されている。
本殿を見上げながら、靴を脱ぎ、ぎし、ぎし、ぎし、ときしむ音を聞きながら木の階段を登る。
青銅色の冷たい床の上に正座し、呼吸を整える。
ここには神様がいると思う。
ガランガラン、ガランガラン。
静寂の中に鈴の音が鳴り響く。
この音は私にとって特別だった。
ここは初心に帰る場所。
これは、土佐町の地図。
この地図の左下に「芥川」という地域があります。土佐町の中心地である田井から、車で約50分。
「高峯神社」はこの芥川にあります。
とさちょうものがたりでは、今まで高峯神社についての記事をいくつか掲載してきました。
この高峯神社をずっと守り続けてきた人がいます。
筒井賀恒さん。昭和8年生まれ、85歳。
高峯神社のことについて知りたかったら賀恒さんに聞いたらいい、と黒丸地区の仁井田亮一郎さんが教えてくれました。賀恒さんは、70年間ずっと高峯神社のお世話をしてきた人だから、と。
初めて賀恒さんを訪ねた日、賀恒さんは家の前で待っていてくれました。約束の時間のずい分前から、今か今かと家の前の道を行ったり来たりしながら待っていてくれたようでした。笑うと目尻が下がる、話したいことをたくさん持っている人だということがわかりました。
会ってすぐ挨拶もそこそこに「道案内からしようか?」と賀恒さんは言いました。
賀恒さんは、最初から高峯神社を案内するつもりでいてくれたのです。
「高峯神社までの道しるべがあるよ」
賀恒さんはそう言いました。
道しるべ!!
まさかそんなものがあるとは夢にも思っていなかった編集部。その場で「ぜひ教えてください!」と賀恒さんにお願いしたのでした。
そして、賀恒さんとの高峯神社への旅がスタートしたのです。
それは、とさちょうものがたり編集部が、高峯神社へのまなざしを深く持ち直すための旅でもありました。
高峯神社への地図
この地図は高峯神社までの道を描いています。土佐町の地蔵寺からスタートし、芥川の高峯神社まで。地図上の数字は、今から200年ほど前に作られた高峯神社までの道しるべ(石碑)のある場所です。
賀恒さんは、地図上の1〜7の石碑と高峯神社を案内してくれました。
石碑のひとつずつ、そして高峯神社を順番に紹介していきたいと思います。
(「高峯神社への道 その1」へ続く)
*道しるべの存在を教えてくれた筒井賀恒さんの記事はこちらです。
黒岩勝正
とても雰囲気のある「高峯神社」祭神は分かっているのでしょうか?
他の(兵庫県)では素戔嗚のようです。石鎚山も素戔嗚で、三宝山の三宝は金山彦で
素戔嗚は彼の娘・櫛稲田姫姫を妃にしているので、素戔嗚と推定しましたが伝承とかは
無いのでしょうか?
とさちょうものがたり
黒岩さま
コメントありがとうございます。
素戔嗚についての伝説は聞いたことがないのですが、祭神については、以前、記事を作っています。よろしかったら読んでみてください。
https://tosacho.com/takamine-1/
https://tosacho.com/takamine-2/