「土佐の食卓」 土佐伝統食研究会 高知県農業改良普及協会
この表紙の緑色の茎、大きな葉。これは高知でよく使われている食材である「りゅうきゅう」です。大きいものでは、子どもの背丈ほどにもなります。
約10年前に高知に来てから、初めて知った山菜や野菜がたくさんありました。「りゅうきゅう」「ゼンマイ」、「いたどり」などなど。初めて手にした食材をどうやって料理したら良いのか?
そのまま食べたら物凄いえぐみのある「わらび」のアク抜き方法や、赤ちゃんのへその緒のように乾燥したゼンマイの戻し方…。それを知りたい時、何度もこの本にお世話になってきました。
食材だけではなく高知ならではの郷土料理も紹介されていて、土佐町の長野商店店主・長野静代さんも作っている「さばの姿ずし」をはじめ、高知県各地の料理の数々は、高知という土地がもつ食材の豊さを教えてくれました。
その土地の人たちがその土地にあるものを工夫して使い、美味しいものを作る。その営みを代々守り、引き継いできた人たちがいるからこそ今も残っている郷土料理。それは高知という土地のつよさであり、素晴らしい文化です。
10年前に感じた「高知に来てよかった!」という思いは、今も全く変わっていません。高知のもつ新しい側面を知るたび、高知を支えてきた人たちに出会うたび、その思いはますます強くなります。
いつか私も、この本を開かなくとも上手にゼンマイを戻し、リュウキュウの酢の物を作れるようになりたいものです。まだまだ時間がかかりそうですが、「さばの姿ずし」や「蒸し鯛」も必ずや挑戦したいと思います。