「伝えたい!昭和の食卓」 松﨑淳子 飛鳥出版室
高知県立大学名誉教授の松﨑淳子さんが、かつて担当していた「調理学」の必修科目「調理実習I」を再現した本です。松﨑淳子さんは、以前紹介した「聞き書き高知の食事」や「土佐の食卓」にも携わっており、高知の食についての生き字引のような方です。その松﨑さん手書きのレシピが掲載されているこの一冊が出版されたと知り、すぐに購入しました。
40年かけて仕上げたというレシピは、まずはご飯の炊き方からほうれん草の胡麻和え、厚焼き卵など、身近な料理がいくつも。でもレシピをよくよく読んでみると、ほうれん草の胡麻和えの「胡麻和え」では、「ごま炒りに胡麻を入れ、強火にかけ、終始よく振る。パチっと音がし始めたら、火を止め、なおそのまましばらく振り動かして、全体をふんわりと炒る」、とのこと。
胡麻を炒る道具「ごま炒り」は我が家にありません。今まで何度もほうれん草の胡麻和えを作ってきましたが、恥ずかしながら胡麻を炒ったこともありません。
でも、レシピを読んだら「ごま炒りを買って、ごまを炒ってみようか」という気持ちになりました。ちょっとした手間暇を省きがちな私ですが、ちょっとした手間暇をかけてみようと思いました。
他にも、茶碗蒸しのレシピにある「すまきの入った茶碗蒸しに柚子皮をのせる」、ハンバーグのレシピの「ハンバーグの肉にナツメグを入れる」のもやってみたいです。
松﨑さんが見つめる食卓への愛情がひしひしと伝わってきます。このレシピは「無断複製大歓迎」で大いに広めてほしいとのこと。そんな心意気も本当に素敵だなと思っています。