今回は趣向を変えて、友人に教えてもらった早口言葉のような土佐弁です。
「席とっちょいちゃるって言うちょっちゃって〜」
意味:席取っておいてあげるって言ってあげて
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夜、暑いので網戸にして寝ていると、虫が入り込んでくる。
眠っているのに、太ももを何かが這う気配を感じると不思議なものでサッと覚醒する。
とっさに手で虫をつかむ。
何故つかむかというと、逃がして子ども達が刺されたり噛まれたりしてはたまらないから。
ある時はカミキリムシ。
ある時はカナブン。
とりあえず、勝手口からそっと逃がす。
今朝もまた太ももにモゾモゾとした気配を感じたので、とっさに握りこむ。
硬くてギザギザしたものが右手に収まってビクッとする。
ヒエッ。
これ何!?
暗闇で目をこらすと、ゲジゲジだった。
足が4~5本落ちて、布団の上で「ギギ・・・ギギ・・・」という音をたてながら動いている。
うへぇ。
何か、つぶしても動きそうだったので、ビニール袋に入れてゴミ箱に投入する。
もっとえいもん入ってこんかな。
クワガタとかカブトムシとか。
昆虫採集できそうやん。
布団を敷いていざ寝るぞというときに、「今日は誰が母ちゃんのとなりで寝るのか」という問題が持ち上がる。
両脇あるうちの一方は、赤ちゃん専用と決まっているから、空いているのは反対側のみ。この場所を三人の子どもたちが狙う。少し前までこの場所をめぐって毎晩争いが勃発していたのだが、最近は平和的に日替わりで決まっているようだ。しかしながら、当番の子が寝入った隙に、その子と母ちゃんとの間に入り込むという高度な技が開発され、おちおち寝てもいられない。また、まだ小さい次男は、「泣く、ぐずる」というスキルによって特別待遇を得ることもあり、姉兄は油断できない。
その様子を横で見てる僕は、「父ちゃんのとなり、空いてるよ」と、声を掛けてみる。大抵無視されるか、「ひとりで寝るよりは、まし」と、こちらにやって来ることが稀にある。
そして、これはもう自慢の域に入るくらいなんですが、うちの子たちは皆相当に寝相が悪い。寝息が聞こえると同時に、あちらこちらにゴロゴロと転がりだし、結局、母ちゃんのとなりには赤ちゃんだけ。当人たちは、朝の自分たちの状態に疑問を呈することもなく、寝相が改善されることもない。
それでも、家族6人が布団を並べて寝られるのは、有り難いなあと思う。
高須の沢田健次さんと智恵さんのご夫婦です。(あと、牛!!‥お名前聞き忘れました。失礼!)
土佐町は希少なあか牛の生産者さんが数多い場所。健次さんと智恵さんもあか牛を何頭も育てています。
酪農や農業は、人間のタイミングを待ってくれない。動物や植物や天候が先にあって、人間の都合は二の次三の次。
経験者のように知った風に書いてしまいましたが、そういうお話をよく聞きます。そういうお仕事を長年している方は土佐町に多くいて、そうやって地に足つけて手を使い自然を相手に生きている方々は、会うたびいつも「なんか良い」と思います。
うまく言葉にならないので「なんか良い」なんですが、「なんか良い笑顔」のお二人です。
私が住んでいる相川地区には、「二本杉子ども会」という子ども会があり、毎年夏休みに入ってすぐにキャンプをする。
釜でご飯を炊いて、カレーを作って、花火をして、子ども達は校庭にテントを張って寝る。
大人はその辺で寝る。
夕食後、子ども達はそれぞれに遊びはじめ、大人たちは慰労会へと突入する。
辺りが暗くなってきた頃、運動場の隅で子ども達が騒ぎ出した。
「セミの幼虫や!」
「脱皮しゆ!」
それは羽化というのだよ。
いそいそと見に行った私は、テンションが上がって写真を撮りまくる。
また大人の輪に戻り話をしていると、また遠くから子ども達が
「亜美ちゃん亜美ちゃん亜美ちゃん!!!!」と呼ぶ。
「セミが完全に出てきた!!」
「写真撮りや!」
さかさまに出てきていたセミがいつの間にかぶら下がり、しわしわだった羽が美しく伸びている。
「こっちにも幼虫いっぱいおるで!」
そう言いながらプラコップに3~4匹入った幼虫を見せてくれる。
「写真撮りや!」
「セミになったやつもおるで!」
「写真撮りや!」
いや、セミはいつでも撮れるきえいわ!と言いながらも撮る。
どうやら、すごいセミ好きのおばちゃんと認識されてしまったようだ。
今年は川原でキャンプファイヤーもした。
本格的に木を組んで火を点けると、結構な勢いで炎が燃え上がる。
暗闇の中で炎が幻想的に揺らめく。
何かあった時は、消防団の保護者もいっぱいおるき大丈夫大丈夫、と言いながら。
「まぁホース持ってきてないけど」
しかもみんな酔っ払ってるし・・・。
キャンプの最後はみんなで花火。
広々とした運動場で、みんなが思い思いに花火に火を点ける。
小さい子達にお姉さんが「やる?」と花火をわけてくれる。
「打ち上げ花火やるで」と大人が順番に火を点けると、子ども達が歓声を上げる。
並んだみんなの後ろ姿が可愛かった。
夏休みのはじまりだ。
友達のふみちゃんが「孫が大きゅうなったけ」と着せ替え人形を譲ってくれた。
ドレスはもとより髪飾りやバッグにブーツまで着せ替えられ、色もカラフルで紙質もいい。
裏にマグネットがついていて、着替えが楽々とできるのもあるのにビックリさせられる。
子どもの頃、着せ替え人形は手描きだった。拙い絵だったけれど、下手なりに洋服を何着も描いて楽しんだ。
上級生に描いてもらったりすると、とてもうれしくて大事に大事にした。
首の部分がちぎれやすかったので厚紙を裏に貼った。誰にならったのか子どもなりに工夫していた。
雨の日は隣の寿子ちゃんの家で着せ替え人形ごっこをした。人形の家は石鹸箱やマッチ箱で花柄のお菓子の箱などを持っていたりすると、うらやましかったのを思い出す。
今では
「いらっしゃいませ 何にしましょう?」
「それじゃあ ハンバーグとジュースをください」
「わかりました 少々お待ちください」
「ポテトはいかがですか」
「まあ おいしいき 買うちょきや」
3歳と5歳の孫娘相手に紙人形をもってお買いものごっこ。
ファーストフード店の店員さんの言葉と土佐弁を達者に使う。
女はこんまい(幼い)時から違う!!
2018年7月20日、『とさちょうものがたりZINE 02』を発行しました。
ZINEは、まず土佐町の人たちの元へと届けられます。
土佐町役場の大尾千寿さんが、地区の世帯数ごとに仕分けをしてくださっています。
土佐町には全部で41区に分かれ、世帯数が2軒だけのところもあります。たとえ世帯数が少なくても全戸配布されます。
あの山やあの場所で暮らしている人生の先輩方をはじめ、土佐町の人たちがZINEを手にし、ページを開いてくれたらとてもうれしく思います。
そして『とさちょうものがたりZINE』はただいま絶賛発送作業中!
県内外のお店や本屋さん、お世話になっている方たち、お問い合わせいただいた方たちへの元へと届けさせていただいています。
土佐町スタンプを押したダンボールで送ります。
ZINEの入ったダンボールを大量に持ち込もうとしていると、土佐町森郵便局の局長さんが荷台を転がして外へ出てきて、せっせとダンボールを荷台に載せ、中へと運んでくださいました。ありがとうございます!うれしかったです。
そして郵便局のみなさん総動員で、郵送作業をしてくださいました。
『とさちょうものがたり ZINE 02』、土佐町の郵便局から色々な土地へ、色々な人の元へと旅立っています。
ページをめくり、「土佐町」を感じてくれたらとてもうれしく思います。