2022年2月

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

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「とうちゃんのちゃんぽんめん」 伊藤秀男 福音館書店

毎月一冊、保育園を通して購入し、持ち帰ってくる『こどものとも』がひそかな楽しみだ。

こちらの作品は、年少クラスの娘が昨年の夏に持ち帰ったもの。けれど、半年経ち、寒い冬の今、読んでほしいと娘がよくせがむ。 その理由はわからないけれど、夏に読んだときよりも確実に、ちゃんぽんめんが美味しい季節であることは間違いない。

とうちゃんのつくるちゃんぽんめんには、12種類の具沢山の野菜に、いか、えび、あさりまではいって、しいたけ&昆布のだしをベースに、麺は乾麺からのこだわりよう。

とうちゃんはザクザクと具を刻み、文章にはなくとも胡麻油もしっかり鎮座している台所。 醤油差しの白い陶磁器、手入れされた中華鍋、出番の多さが物語る先の焦げた木べら…、美味しいごはんが生み出される台所であることがわかる。

そしてここの表現がたまらない。

−しおを ぱっぱっ、しょうゆをたらり、おみそを ぽちゃんといれ ぱっぱっ、たらり、ぽちゃん…

その音だけでどれくらいの分量なのか想像がつき、味まで思い浮かぶ。

 

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土佐町の人々が座って豊かな時を過ごすために。第2回土佐町ベンチプロジェクト、進行中です。

 

嶺北でとれた木材を使い、土佐町の職人さんにベンチを作ってもらいました。土佐町の人々が座って豊かな時を過ごすために。

2019年に行った「土佐町ベンチプロジェクト」、第2回が進行中です。2022年2月現在、27個の木製ベンチを製作し、土佐町のあちこちに設置中です。

 

2回目のベンチプロジェクト

 

2019年度に完結した「土佐町ベンチプロジェクト」。作ってくれた職人さんや大工さんをはじめ、町の多くの方々にご協力いただいて町のあちこちに木製ベンチを設置することができました。

①今までなかったところにベンチを設置する → ②今までは歩きながら、もしくは立ち話をしていた場所で座ってゆっくり話しをする → ③人と人のコミュニケーション量が増える

そういった目的のもと行ったこのプロジェクト、その後は町を移動する際に、座ってお話をしている住民の方々の姿を見かけたりして、内心うれしく思っていたのでした。

 

2019年第1回の詳細はこちら↓

土佐町ベンチプロジェクト ① 

 

1回目にできなかったこと

ひとつ大きな反省がありました。それは、「住民の方々に、設置場所を十分に相談できなかった」こと。

1回目に決めた設置場所は、編集部と役場の担当さんとでいろいろと意見を出し合って、「あそこにあったらいいんじゃないか」「あそこは立ち話をしている人がよくいる」といった情報のもと、地区長さんや商店主さんなどその場所の管理をされている方々に許可を得て設置していきました。初めてのプロジェクトで、ある意味それが精いっぱいでもありました。

そんな思いが心の中にありながら完了した1回目。その後しばらくして、住民の方々から「うちの地区にも置けないか」「もっとあったらおきたい場所があるんやが」など、ありがたい声がちらほら届くようになりました。

じゃあもう一回やりましょう(修正ありで)

というわけで、今回の2回目です。まず、全地区の地区長さんたちが一堂に会する地区長会で、「もう一度やります」「約30個ぐらい追加で作ります」「つきましては、地区の方々のご意見を聞かせてください」といった話をさせていただきました。プリントを配り、地区長さんに持ち帰ってもらい、希望の設置場所を書き込んだ上で戻してもらうという方法を取りました。

そして出てきた地区の方々が希望する設置場所は、より住民の方々の生活に沿ったものになったと思います。

 

そして製作

製作は第1回と同様に「土佐町建築組合」の大工さんたち。1月の初旬に集まって、こちらが驚くような早いスピードで仕上げてくれました。

 

製作風景 瞬く間に仕上がっていきます

ベンチ製作チームの大工さんたち  前列左から 池添篤, 森岡拓実, 山中晴介, 大石淳一, 澤田明久, 小笠原啓介,(敬称略)

 

 

 

 

焼印はどんぐりの仕事

最後の仕上げに焼印を押す。この仕事は土佐町の障がい者支援施設どんぐりのメンバーさんの仕事です。ふだんはシルクスクリーンで印刷作業を担当してくれているふたりが、この日は焼印を手にひとつひとつ仕上げていってくれました。

第1回で設置したベンチ、特に屋外に設置したものは2年が経過し、焼印が全く消えてしまっている現状を鑑みて、今回は焼きすぎるくらい濃く焼印を当てることにしました。

 

どんぐりの寿光くん(中央)と希保ちゃん(右) 手際良く焼印を押していきます

和田守也町長も!

ちょっと濃いめに焼いた焼印

 

 

こうしてできた27個の木製ベンチ。木材はもちろん地元産のスギとヒノキ。目にも肌触りも柔らかく、天気の良い日は特に気持ちよく座って豊かな時間が過ごせること間違いなしです。

こうして第2回目も無事完了‥おっと、まだ設置が残っていました。現時点(2022年2月1日)ではまだ設置をしていませんので、設置場所の報告はまた近々、別の記事でお伝えしたいと思います。

 

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私の一冊

川村房子

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「通天閣」 西加奈子 筑摩書房

どうしょうもない人々が醸し出す得体の知れないエネルギーが溢れている大阪。帯に「えらいこっちゃ!」と書かれているのを見て、つい手がのびました。

夢を失いつつ町工場で働く中年男の俺。恋人に見捨てられてしまっても、まだすがりついていたいスナックで働く若い女。ある雪がヒラヒラと舞う夜、通天閣で自殺しようとしているダマー。俺は「死ぬなー」と言いながら、その言葉を俺に言って欲しいと思った。お互い気付いてはいないが、スナックで働く女は、昔、子連れの女と所帯を持った時のガキ。

ドラマチックかと思いきや大阪らしいオチもある。通天閣を舞台に起こった大騒動。

 

お正月明け、次男の家に冬休み中の孫の守りにいったとき、大阪のローカル番組だったと思う。通天閣下の立ち食いうどん屋さんが放映されていた。一杯170円。出汁のきいたうどんで、16年間値上げなしだという。一日も休み無く6年間通っている男性など、さまざまな生き様をもつ人ばかりで、コロナの間も閉めることはできなかったと店主。

本を読み終えたばかりだったので、身につまされた。

今、通天閣では耐震工事とあわせて、地上から4メートルの滑り台を造っているらしい。「えっ!そこにすべりだい」と思ったけれど、大阪らしいといえば大阪らしいと思いませんか?

 

 

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みんなのアルバム

田井橋

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昭和39年に撮影されたこの写真は、土佐町田井地区の西森理髪店の店主・西森五明さんが見せてくれたものです。

この写真は橋の上から通りに向けて撮影されていますが、この橋の名前を「田井橋」といいます。

町の人と話していて、「ほら、あの辺りよ。田井橋らへん」と言われたら、「ああ、あの田井橋の辺りにあるのか」と、頭に田井橋周辺の地図が浮かびます。ちょっとした目印のような、頼りになる存在です。

田井橋から見たこの通りは、当時「大橋通り」と呼ばれていたそう。

「昔は、この道は賑やかやったのよ」と誰もが口を揃えて言うように、店の看板が立ち並ぶ様子が見えます。

 

こちらは現在の「大橋通り」。橋の欄干の形も変わっていますね。

昭和39年当時と比べると閉店したお店も多く、人通りは少なくなりました。

けれども今も商いを続けているお店は数々あり、通りに明かりを灯しています。田井地区に住む人たちや子供たちの通学路としても、欠かせない「田井橋」、「大橋通り」です。

 

【土佐町の絵本】写真集め ②

 

 

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