「ワンダー」 R・J・パラシオ作 ほるぷ出版
私が以前、美術館で出会った小さな男の子。その子を見て、変わったお面をつけてふざけているのかなとほほ笑みかけたら、お面ではなかった。正直、ギョッとしてしまった経験がある。
多分「ワンダー」の主人公オーガストと同じ、“トリーチャーコリンズ症候群”という染色体の先天性異常で、顔や耳の骨がうまく整形されず顔の形が変形してしまう病気だと思う。
一緒にいた家族はごく自然であった。
私の示した反応は、おそらくまちがっていたと思う。
正解もわからず、この本を読む機会を得て一気に読んだ。
オーガストは言っていた。
「自分がふつうの10歳の子じゃないってわかっている。といっても、もちろんふつうのことをするよ。アイスクリームを食べる。自転車に乗る。ボール投げをする。ゲーム機を持ってる。そういう意味でいえば、ぼくはふつう。多分。そして、ふつうの感情がある。心の中はね。だけど、ふつうの子なら公園で会ったふつうの子に悲鳴をあげられて逃げられることはない。ふつうの子なら、どこかへ行くたびにじろじろ見られることもないよね。」
重度の障害をもつ人も、ふつうの人。
そんなわかりきったことを再認識させられた自分に少しがっかりした。
クールなオーガストと様々に個性豊かなクラスメート、とりまく大人たちとのストーリー。そしてハッピーエンド。
映画化もされたベストブックです。
藤田純子