昔、伊予(現在の愛媛県)の寒川から猿田峠を越して、瀬戸内からたこ売りが来ていました。
あるいいだこ売りが、森のかまち(水路)のふち(近く)を通りかかった時、草刈鎌をごしごしとぎゆう豊年さんに、
「兄さん地蔵寺へは何どき(時間がどれくらい)かかろかいの」と聞きました。
豊年さんは、ジロリッと見ただけで物を言わんと。
アリャこの人おかしいと思ったたこ売りは
「これはしたり」
と言うと、かまちぶちをかみへだいぶ歩いたと。
そしたらその足を見て豊年さんが草刈鎌をとぐのをやめて大声で
「たこ売りのおんちゃん!その足なら一とき半ッ(三時間)」
と言うたそうな。
和田久勝(館報)ー「土佐町の民話」より
絵:川原将太