澤田千恵野さん(昭和2年生まれ。91歳)の話
私は6人兄弟で兄がひとりおって、兄は海軍に志願をして入ったがですよ。
戦争終わっても行方不明でわからんきね、生きているとは思われんとみんなで思ってました。
もう戦死したつもりでおったのがね、
終戦になって2年くらいしてから、兄がぽっかり帰ってきてね。
突然ふらっと帰ってきて、夢のようだった。
もうびっくりして。父と母も喜んで。
まあ、みんなでほんと、うれし泣き。
兄はラバウルへ行っていてね。
海軍でしたき、船に乗っておって、やられてね、敵に。
そして一昼夜泳いだいうて。
泳いでラバウルの島へついて、そしてあちこちしてるうちに帰ってきたがですわ。
ラバウルでマラリアになって、こちらに帰ってきた時、うんと熱が高かって、元気に仕事するようにはならんと言ってね。
熱が高いとビクンッ、ビクンッ、って震えるがですよ。それを私や妹で体を抑えてね。
最後は元気になって、女の子が5人生まれて、孫もそれぞれたくさんできてね。
戦争が終わって、ラバウルから帰ってくるまでに2年かかったのよ。
つくりごとではない本当にあったこと。
もっといろいろ話しておかんといけないことがあると思うんですけどね。