「なりたい」 畠中恵 新潮社
ファンタジー時代小説。愉快で愛嬌たっぷりな妖(妖怪)が繰り広げるファンタジー。しゃばけシリーズ第十四弾。
江戸有数の廻船問屋の跡取り息子。限りなく病弱な離れで暮らす一太郎。
亡くなった祖母が大妖であった故、一太郎も少しはその血をひいており、店で働くもの、離れに陣取っているもの、世話をするものと妖たちに囲まれて過ごしている。
そんな一太郎の元に、どこから聞いたのか助けをもとめてやってくる。
消えた死体を捜せ、猫またの長をきめろ、おまけに来世でなりたいものを決めろと無理難題。一度出かければひと月も寝込んでしまう病弱さでありながら、屏風のぞきや貧乏神、鳴家、おしろに小鬼等に助けを借りて解決に導いていく。
妖たちはお菓子や料理、お酒をお供えしてもらえば文句なし。
「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」。
願いをめぐる5つの物語。
川村房子