「貸出禁止の本をすくえ!」 アラン・グラッツ作 ないとうふみこ訳 ほるぷ出版
E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』を読まれたことはありますか?
「他人とは違う」自分になりたくて、弟を相棒にしてメトロポリタン美術館に家出する女の子が主人公の読み応えのある作品です。以前、NHKのみんなの歌で流れていた「メトロポリタン美術館」の歌詞はこの作品からインスピレーションを得たとのことです。 この世界の人々に愛され、読み継がれてきた物語が「小学校の図書館にふさわしくない」作品だと貸出禁止になってしまいます。
主人公のエイミー・アンは13回読んでもまだ読み返したいと思うくらい『クローディアの秘密』が大好きな女の子。貸出禁止処置に断固反対で、心の中で猛然と反対意見を述べるのですが、実際に声にすることは難しく、せっかく参加した公聴会では言葉を飲み込んでしまいます。けれども最初は11冊だった貸出禁止本が、その後どんどん増えていってしまう事態に我慢できず、突飛な手段で、貸出禁止の本をすくうことを思いつきます…。
エイミー・アンとその仲間を応援しつつ、司書の1人として、いろいろと思いながら読んだことでした。