「みずをくむプリンセス」 スーザン・ヴァーデ文 ピーター・H・レイノルズ絵 さくまゆみこ訳 さ・え・ら書房
ジージ―はアフリカのプリンセス。ジージ―の王国はアフリカの空。野良犬と歌い、草と踊り、風とかくれんぼすることだってできます。
そんなジージ―でも、水をよびよせることや水をきれいにすることはできません。まだ夜が明けきらない暗い朝。ジージ―とお母さんはずっとずっと遠くまで水を汲みに行かなくてはなりません。 水を汲みに行くジージ―の一日からは、水問題についての現状が端的に伝わってきます。
またあとがきでは、この絵本が生まれたきっかけや、清潔で安全な水を手に入れることが困難な人々が現在も多数いることを伝えてくれます。とても大切なさまざまなことを考えさせてくれる絵本です。が、それとともに、絵の素晴らしさも味わってほしい作品です。
歌い踊っている時のジージ―のしなやかな体。頭に壺をのせたジージ―と母親の堂々とした足取り。水くみに行く人々のシルエットの美しさ…。過酷な現状を伝えるとともに、生活を楽しみ、お互いをいつくしみ合っている家族の豊かな日常の感じられる絵本です。