「あらしのよるに」
もう20年ほど前になるでしょうか。友人と書店で甥の誕生日プレゼントを買いに行った。しばらく絵本や図鑑を探していた。「あらしのよるに」を手に取り、立ったまま読むとヤギとオオカミの物語りで、すごく可愛くて切なくて引き込まれた。友人も「この本いい ね、 これにしよう」と。
隣りに「あるはれたひに 」と「くものきれまに」と並んでいたので、3冊買ってプレゼントした。甥が読み終ると借りてゆっくり読んだ。「いやー良かった」。
ヤギとオオカミが、真っ暗なあらしの夜に雨やどりした洞窟の中で知り合って気が合っ て、天気の良い日に会う約束をした。お互い引かれあい友達になるが、所詮ヤギとオオカミ。それぞれの仲間達に2匹が会っているのがバレて、仲間をとるか友達をとるか迫られ、2匹は裏切る決心をして約束の場所に会いに行き、どしゃ降りの雨の中、一緒に逃げようと決心する。
「ここまで来たら行くところまで行ってみますか」とヤギのメイ。「おいらそのかくごはもうできてやすよ」とオオカミのガブ。2匹は、大雨で増水した激流へとび込む。何とか生きていた2匹は追っ手に見つからない様に故郷を出る。
「私がガブと出合ってしあわせだと思ってるんです。命をかけてもいいと思える友達に会えて」とメイ。「そんな風に思ってくれる友達がいるなんて、オイら本当に幸せでやんす」とガブ。
次の年に「きりのなかで」「どしゃぶりのひに」「ふぶきのあした」を 買っ てコンプリートした。しばらくして「まんげつのよるに」を見つけた。シリーズの完結編は「ふぶきのあした」だと思って悲しい 物語りだと思っていたが、完全版と書かれた自分の為に買った「あらしのよるに」はハッピーエンドだった。今回推しの本を紹介する事になった時、一番にこの本が浮かんだ。
素敵なヤギとオオカミの物語り。