石川拓也

図らずもTPP。あっちのTPPではありません。

土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。

2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。

各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。

写真:石川拓也 宛名面デザイン:品川美歩

土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Mar.  上野

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上野 | 三瓶素生・偲生・澤田時生・旅生

 

こんなところがまだあったのか、という嬉しい驚きでした。

上野を車で走っていて、西側にチラチラと見え隠れする川。その一箇所に、このような堰堤がありました。

石垣で作られているところを見ると、だいぶ古い時代のものなのかなと想像します。

まだコンクリや重機が存在しなかった時代に、地元の方々がみんなで作ったものなのでしょうか。

この地に生きた先祖にあたる世代の方々が汗をかいて作ったことは間違いないでしょう。少しでも水の流れを緩やかにしたい、人々の暮らしにとって利のあるものにしたいという情熱のようなものをそこに感じます。

現代の私たちの暮らしはそういった前の世代の仕事の上に築かれているという当たり前の事実を実感させてくれます。

ちなみにこの水の透明度、写真的な加工は一切入れていません。

堰堤の上を行ったり来たり、たまに尻もちついてお尻が水浸しになったり。4人は三瓶家の素生ちゃん・偲生ちゃん、澤田家の時生くんと旅生くんです。

 

 

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「ヤノマミ」 国分拓 新潮文庫

同タイトルのドキュメンタリー作品があるので、そちらを観た人が多いかもしれません。「ヤノマミ」とはブラジルとベネズエラの国境付近に住むヤノマミ族のこと。

彼らの中にNHKのカメラが入り、150日間の同居を通して、ヤノマミの生き方を記録していく。

そうやって編まれた「NHKスペシャル ヤノマミ」は、数多くのドキュメンタリー映像を観てきたように思う僕にとっても、衝撃度という意味ではダントツの一位で、それは観てから10年以上経った現在でも変わりません。そのぐらい、自分の死生観や価値観が根底から揺さぶられるような作品だったのです。

ヤノマミの世界では、人間は精霊として生まれ、母に抱かれることで人間になると信じられています。

母となる女性は自らが産んだ赤ん坊を、自身の子として受け入れ育てるか、もしくは精霊の元へ返すかという選択をするといいます。

精霊の元へ返すというのは即ち、産んだ赤ん坊をその場で殺めて、白蟻に食べさせること。

実際に取材班はヤノマミのひとりの女性の出産に同行し、出産を終えた彼女が産まれたばかりの赤ん坊を「子として育てるか」「精霊の元へ返すか」という決断をする過程を撮影しています。

そしてこの番組の中で、その女性は「精霊の元へ返す」という選択をしたのです。

『母としての「無条件の愛」は、人間として生物として非常に根源的な部分に根ざしていて、それは例外はあれどヒトにとって本能的に備わったものである』という前提を漠然と持っていた僕は、このエピソードを観てひっくり返ったのです。

母の「無条件の愛」ですら、場所や時代や文化が違えば当たり前のものではないのだ。人間を根本から考え直す機会を与えてくれる作品に出会うことはそれほど多くはありませんが、だからこそ「ヤノマミ」は僕の中で忘れられない作品になっています。

*調べたところ、「ヤノマミ」はNHKオンデマンドなどで(有料ですが)現在でも視聴できるようです。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2023 Feb. 立割

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立割 | 高橋立楓・杏月

 

寒波が去った後、2月の立割。

冬の終わりを感じさせるような暖かな陽射しの元、高橋立楓ちゃん・杏月ちゃんの姉妹と田んぼに繰り出しました。

まだ空気は冷たいけれど、地面からは小さな春の胎動を感じるような季節。

個人的には、まだかまだかと小春日和を待ち望みながら、繰り返し戻りくる「三寒」にがっかりする日々でもあります。

この三寒があるからこそ、もうすぐそこまで来ている春の嬉しさがひとしおでもあるのでしょうね。

分厚いコートを脱げるのももうすぐです。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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ノーマン・ロックウェル カバー画集 『「サタデー・イブニング・ポスト」誌の時代』 玄光社

ドラゴンボールの祖先・ノーマン・ロックウェル

アメリカの「ふつうの人々」を、明るく躍動感のあるタッチで描き続けたノーマンロックウェル(Norman Rockwell、1894年2月3日 – 1978年11月8日)の画集です。

ロックウェル先生。僕の中では勝手に先生と呼んでいる画家が2人いて、そのひとりがこのロックウェル先生。もうひとりはアンリ・トゥルーズ・ロートレック先生です。2人、画風は全然違いますが、「ふつうの人々」を描き続けたという点で共通しています。

いきなり話は逸れましたが、ロックウェル先生の絵が特徴的なのはこの躍動感。人物が激しい動きをしている一瞬を、写真で撮影したかのようなピンポイントで切り取っています。これはロックウェル先生が育つ過程で写真というメディアが普及したことともちろん関係があり、当時のオールド・メディアである絵画が、台頭著しいニュー・メディアである写真を逆輸入した一例でもあります。

この画風は、(確証があるわけではないのですが)後に鳥山明に多大な影響を与え、「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」などの作画は、元を辿ればロックウェル先生である、という説もあります。

「説もあります」という言い方にこの場は留めておきますが、鳥山明の特に一枚絵(表紙やトビラ絵など)に注目してみると、非常に納得のいく指摘であると感じています。

そういう意味でロックウェル先生は「ドラゴンボールの遠い祖先」である。らしい。かもしれない。のです。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2022 Dec. 2 和田

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和田小学校 | 池沢稟・花・藍

 

冬にはやっぱり雪景色が撮りたい。
高知県で記録的な大雪が降った翌日。

国道沿いでは残念ながら雪は跡形ものなく溶けて消えていたものの、少し標高の高い和田地区に行けばこの雪景色。

現在では廃校になった和田小学校の校庭は、明らかに誰ひとり足を踏み入れていないまっさらな状態でした。

自然と追いかけっこと雪のぶつけ合いっこが始まる稟ちゃん・花ちゃん・藍ちゃんの3姉妹。

和田小学校で響く子どもたちのうれしそうな歓声は、久方ぶりのものだったのではないでしょうか。

 

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2022 Dec. 一の谷

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一の谷

 

キンキンに冷えた12月のある夜、土佐町で最も標高の高い稲叢山のその麓に位置する一の谷。

一の谷は谷種子さんの桜(「木を植える人」)が植えられている場所でもあります。

気温はマイナス5℃、地面には凍りついて硬くなった雪、生物の気配をまったく感じることのない無音の世界。

そんな夜中にその場所を訪れる人間はほとんどいなかったし、これからもそうはいないのでしょうが、人間がいるいないに関わらず、その場所は毎日太陽が昇り、沈み、雪は降って、積もってから溶ける。

大自然の中、自分がちっぽけな存在に感じられる瞬間です。

帰り道には走るウサギを見かけました。年が変わるのももうすぐです。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「天、共に在り」 中村哲 NHK出版

「暴力と虚偽で目先の利を守る時代は自滅しようとしている。今ほど切実に、自然と人間との関係が問い直された時はなかった。決して希望なき時代ではない。大地を離れた人為の業に欺かれず、与えられた恵みを見出す努力が必要な時なのだ。」

12月17日、高知市内である映画の上映が1日限定でありました。

それは、「荒野に希望の灯をともす」(主催:ゴトゴトシネマ)。アフガニスタンで水路を作る日本人医師・中村哲さんのドキュメンタリーでした。

感想をそのまま伝えようとすると、とてもこの欄では読んでもらえないくらい冗長なものになってしまいそうなので苦渋の割愛をしますが、開始10分を過ぎたあたりから涙が止まらなくなりました。

自分は中村哲さんの持つ何に心がこれほど動かされたのか。

ひとつはその「姿」。飾り気や虚栄心や承認欲求的な力学を全く感じさせないその姿。そして机の上でそれらしいことを言っているだけの人間には身に纏うことができないであろう、身体を張った実践を根拠にした中村哲という存在の確かさ。

こうして賢しらに論評めいたことを書こうとしている自分もちょっと恥ずかしくなるくらい。なのでこれ以上わかったふうなことを書くのはやめておきます。

確かに言えるのは、その映画には、心のとても深い部分に触れてくる力があったと、僕には感じられたということ。

ネットやSNS全盛のこの世界で、責任を伴わずに賢そうに聞こえる言説が溢れるこの世界で、それでもやはり土台としてあるべきは実践であり行動であるということ。

本の紹介ではなくて映画の紹介のような文になってしまいましたが、この本はその中村哲さんが書いたもので、全編を通じて名文と言えるような文章で溢れていますが、それもまた、「文章が上手」というようなテクニック論的な意味ではなく、著者が身体を張った実践の中で獲得してきた言葉であるからこそ、実体を伴った生きた言葉と感じられることが理由なのでしょう。

  

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4001プロジェクト

上野晃裕 (森駐在所)

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森郵便局の対面に位置する森駐在所。上野さんは、この春にここに赴任してきた駐在さんです。

ご出身は高知市で、警察官になって37年。警察官の常で、2、3年ごとに高知県内の様々な任地を異動するそうです。

森の駐在さんの主なお仕事は、パトカーに乗ってパトロールに廻ったり、交通安全のため街角に立ったり。赴任後数ヶ月の土佐町の印象は「平和でのんびりして良いところ」だそうです。

 

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4001プロジェクト

田岡袈裟幸・育子 (地蔵寺)

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これは、土佐町の原風景のうちのひとつなのかもしれません。

山の緑に囲まれ、斜面に作られた棚田で稲刈りをする田岡袈裟幸さんと育子さんのご夫妻の姿。

土佐町だけでなく、日本のあちこちでこのような光景が日常であったと想像します。

高知と遠く離れた、日本のどこかでもこの光景を「懐かしい」と感じる方は多そうな気がしています。

撮影は10月。ポストカード撮影のためあちこち見てまわっていたところ、たまたま巡り合った瞬間。

田岡袈裟幸さんは以前公開した「クロを積む」でもご紹介させていただいた地蔵寺の農家さんです。

 

 

クロを積む 1

 

 

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2022 Oct. 駒野

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駒野 | 西岡飛真 真翔 真裕

 

おそらく何百年と繰り返されてきた風景。

この季節になると、稲刈りを終えた乾いた田んぼには、いなぐろと呼ばれる三角藁の小山がたくさんできているのを目にします。

以前にも相川などの田んぼで撮った記憶があります。一年に一回撮る、僕にとっての風物詩になっています。

きれいに整えられた田んぼはどの季節に見ても気持ち良いですね。場所は駒野。その中で元気よく走り回ってくれたのは西岡飛真くん・真翔くん・真裕くんのくんの3兄弟です。

 

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