西野内小代

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

西野内小代

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「心配事の9割は起こらない」 枡野俊明 三笠書房

旅行先での時間つぶしにと買った本です。実は心配性の私、バッグいっぱいになるまで困った時のお助けグッズを色々詰め込みたいタイプ。周囲を見回すとみんな身軽、でも事も無げに逞しく行動している。安心の為に敢えて不自由に身を甘んじている傾向にあるこの性格を何とかしたい…。

取り越し苦労の多いタイプは失敗の少ない生き方かもしれないが、行動が著しく制限されがちです(私の経験ですが)。精神安定剤のように、心に言い聞かすように、このようなタイトルの本に心惹かれる。

不確かな未来に過剰なまでに心砕くことなく、この瞬間を大切に真剣に生きる事に価値がある。周囲を巻き込むことなく、巻き込まれることなく自分を生きる。

残りの人生が身軽になってくるような一冊です。

 

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私の一冊

西野内小代

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「大人の女よ!清潔感を纏いなさい」 齋藤薫 集英社

表紙のような女優さんを目指せるはずはないが、心掛けだけでも学びたいとの殊勝な思いで買ってみました。

庭の手入れや畑との格闘、枯れ葉や折れて飛んできた枝の後始末をしている現実生活においては、そこまでは無理だし必要ないと軽く読み進む。

きれいな色を着る、しているかどうかわからないメイクではなく、していると他人が認識できて、尚且つナチュラルメイクを心掛けるべき、背筋を伸ばすことの大切さ、笑顔がアンチエイジングには欠かせない事、など日常でも参考になる指摘も多く、刺激をもらった。

日々をおざなりにすることなかれ。自分への「喝」の為に、このような本もたまには必要かもしれない。

 

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私の一冊

西野内小代

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「聖書がわかれば世界が見える」 池上彰 SBクリエイティブ

「目からうろこ…」という表現は聖書に出てくるエピソードに由来している。

アメリカの巨大企業が利潤を投入して、益々規模を拡大し、莫大な収益をあげるのに躍起になっている根底には、「勤勉であれ、時を無駄にしない」などという神の教えに忠実であるという精神が宿っているため。

ブッシュ大統領(息子)の「十字軍~」という失言により長き戦争(9.11以降 約20年間)に突入してしまったのは、十字軍の何たるかについての知識不足が引き起こした悲劇という事実。ロシアのキリク教皇がウクライナ侵攻を祝福(肯定)した経緯。選挙において巨大宗派の支持を得られなければ、当選は危うい、そのための対策が必須であるらしい。

宗教と一口では片づけられないキリスト教の勢力を、アメリカ大統領選挙に関する解説で実感。

このように一国の文化・政治に深い影響力を持っているのがキリスト教である。世界的ベストセラー「聖書」を読んで、世界共通の常識を身に着けようと「あとがき」に書かれている。

いつもながら理解しやすく説得力のある池上さんです。

 

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私の一冊

西野内小代

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「栞と嘘の季節」 米澤穂信 集英社

「黒牢城」で直木賞を受賞した作家の最新作です。

毒性の強いトリカブトを巡って高校生たちが推理と思惑と行動力で真実に迫っていく。希薄になっていく人間関係、他人と距離をおいて日常を過ごしているかにみえて、実は友人達の為に行動し始めていた。

登場人物の言葉を鵜呑みにすると真実には迫れない。巧妙に張られた伏線に脱帽です。何回元に戻り確認したことか!

繰り広げられる物語の発端が「図書室」であることも、意外性に富んだ展開を予想させる。

 

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私の一冊

西野内小代

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「夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます」イ・ミイェ著  鈴木沙織訳 文響社

韓流ドラマにはまると、毎日がドラマ中心の生活になってしまうらしいので、ちょっと距離を置いている。

そこまで夢中にさせてしまう韓国作品にとても興味はある。書店で「韓国年間 №1ベストセラー、ついに邦訳!」の文字に心動かされ、手を伸ばした。

ファンタジーの世界に入り込めるかどうか…。最初は脳の上っ面で文字を追っているだけだったが、寝る前に読んでいると夢か現か…すっかり入り込んでしまう。

この作品での「夢」とは、寝ている時に見る夢であって、人生での「夢」とは別物。

しかし、両者はリンクしてくる。

最後の章で一名の従業員の存在に触れている。彼は度を超した計画性、そして自己中心的な生活の為に周囲との関係をおろそかにしているが、本人は全くそれに気付いていない。結局は不利な人生を歩んでいるという寓意を匂わせる。

ファンタジー作品で余白の大切さを学んだ。

 

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私の一冊

西野内小代

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70歳が老化の分かれ道」 和田秀樹 詩想社

無自覚に過ごしていれば、自然と老いは加速していく。この加速という言葉にギクリとして読み始めた。

老化は脳の前頭葉が深く関係していて、いかに委縮を遅らせるかによって老化の個人差が生じる。委縮は40代からすでに始まっていて、70代ともなると本格化してくる、というから恐ろしい。前頭葉を使うことが老化に対する最大の防御。

脳を使っていればいいのかというと、そうとは限らない。自学スタイルは効果が薄く、他者と言葉を交換することが大切だそうだ。変化のある生活を心掛けることが、前頭葉の活性化につながる。

他者への関心や、集中力・意欲の減退が要因となって一気に年老いていく。他者と関わり、興味を持って積極的に物事に向き合うことが老化予防につながる。

体力や人生に対する姿勢をいくら頑張っても、人間を司っている内部機能が狂ってしまったら台無しである。

庭の手入れは楽しいけれど、自然との対話ばかりでは老化へまっしぐらってことですね…。

 

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私の一冊

西野内小代

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「強く生きる言葉」 岡本太郎 イースト・プレス

「芸術は爆発だ」という言葉と、目がとても印象的な‘取扱注意’感のあるおじさんキャラだったように覚えている。ここ最近、若者たちの間で岡本太郎の言葉が脚光を浴びているらしい。

大阪万博「太陽の塔」が最も有名だが、近年見つかり修復され渋谷駅に飾られている巨大壁画もテレビで特集され再放送もされている。真の芸術家は必ず再発掘される。

岡本太郎記念館へ一度(20年くらい前かな?)見学に行ったことがあるが、大都会の真ん中で一見普通の住居のように佇んでいたが、その空間は厳かな威圧感に満ち溢れていた。手の形をした椅子が置かれた庭を、今でも鮮明に思い浮かべることができる。

環境に惑わされることなく、しっかりと前を向き、人生を堂々と開拓していくフロンティア精神満載の言葉が洪水のように押し寄せる。

なかなかこのようには生きられないが、見習いたい言葉の宝庫である。

 

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私の一冊

西野内小代

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「ストレス脳」 アンディ・ハンセン 新潮社

世界的ベストセラーとなった「スマホ脳」の著者の最新作である。

大学生の孫と書店をウロウロ、「スマホ脳の本が良かったよ」と彼に紹介。その孫が「こんなのもあるよ」と本棚から取り出してくれた。孫に敬意を表し読むことに。

脳はその個体が生存できることを最優先とする。脳が選択するのは生き延びるためにすべき方向。

長寿社会が訪れるまでは若い時期に感染症や事故等で死ぬ確率が高く、その関所を巧妙に潜り抜けた人間の遺伝子のみが生き残り、世代を重ね、現代に至る。

対人関係に不安を感じ引きこもるのは、生存を重視する脳が選んだごく自然の成り行き。

運動と仲間が必要と対処法も記してある。特に運動は1週間に1時間程度でも効果を期待できるそう。ストレスホルモンを抑制する作用を促すらしい。

ウオーキングへと突き動かす原動力を理解できたように思う。気候が良くなったら、こっそり1時間ウオーキングを始めようかな…。

 

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私の一冊

西野内小代

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インド洋 日本の気候を支配する謎の大海」 蒲生俊敬  講談社

日本から遠い海、という印象でしかない「インド洋」。

「謎」というキーワードにすこぶる惹かれ、加えて最近の異常気象も気になり、副題に惹かれて読んでみることに。

日本はインド洋から遠く離れてはいるが、ユーラシア大陸と隣り合っているという地理的条件によってインド洋の影響を受けている。

インド洋の熱帯海域における表面水温が、西側で異常に高くなり、逆に東側では低くなる現象(ダイポールモード現象)が日本列島の夏の異常高温の原因となっている。

冬の大陸高気圧が強力なときには北西季節風は強まり、日本列島は厳しい冬となる。そのようなときは、同時にインド半島やインド洋北部でも、強い北東季節風が吹きやすくなると考えられる。この風はとても乾燥しているが、日本海を渡ってくる時に大量の水分を含むために日本海側に豪雪をもたらす。

ソマリア海賊はインド洋の海流や季節風(ヒッパロスの風)を巧みに利用することによって燃料を節約、作業の安全(!)を考慮していたらしい。

海底温泉やシーラカンスの話も登場し、トピックス的な面白さもある。

 

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ほのぼのと

サワガニ

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案の定、今朝もサワガニがダイブしている。

雨の翌朝には、山からの水を受けている乳鉢のような白くて小さい容器にほぼ100%ダイブしている。小さな蛇口から常に山水が注いでいるその容器(水深15㎝位)からは自力では到底出られない。雨の翌朝には溜まった山水をこぼし救出する。当のカニさんは助けられているとは露知らず、ハサミを振り上げ抵抗する。

赤色の甲羅・くすんだ黒っぽい甲羅、時には親子なのか大小2匹。延べにしたら何匹救い出したことか!

子供の頃のサワガニの思い出といえば、大谷様の谷でチョコマカと小集団で遊んでいる(or食べ物を探している)姿である。ダムもなく、当然南越トンネルもなく、澄んだ山水がどこからともなく大量に流れ落ちてくる冷たくて清らかな谷。

旧森中学校の裏手を分け入っていく、先の見通せない曲がり角を通り抜けると別世界、オニヤンマの飛び交う浅瀬、その先は大きな岩から水が流れ落ちていた。

大きな岩の上流、池のように水を湛えた箇所、そこがサワガニ達の住処。隣には通称「大谷様」と呼ばれる由緒ある神社、子供の私にとっては少し畏怖の念を抱かせる霊域。

カニさんのいる水場にはなかなか踏み込めず、オニヤンマの戯れる浅瀬でよく遊んだ。大谷様は覚悟の必要な場所であった。故に、大谷様のサワガニには滅多に御目文字できなかった。

50数年後の今、サワガニが庭まで遊びに来てくれる。

しかし、何故に雨の日に限ってダイブする?

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