「火の鳥 鳳凰編」 手塚治虫 朝日ソノラマ
とさちょうものがたり
山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
山崎幸子
田岡三代
「大往生」 永六輔 岩波新社
土佐町の田岡三代さんが紹介してくれた一冊は、永六輔著「大往生」。
三代さんは土佐町にある青木幹勇記念館にお勤めです。
記念館に行くといつもにこにこと迎えてくれて、美味しいコーヒーを入れてくれます。
10月に記念館で開催された下田昌克さんの展覧会では、本当にお世話になりました。
三代さんが記念館にいてくれたからこそ、展覧会がより温かいものになりました。
三代さんは言っていました。
「私は本当に友達に助けられてきた。
みんながいてくれる。だから大丈夫よ。」
三代さんがあの場所にいてくれるんやなあ、と思うだけでそっと背中をぽんぽんとたたいてもらっているような気持ちがします。
鳥山百合子
「Michio Hoshino」 星野道夫 スイッチ・パブリッシング
1996年、取材中クマに襲われて急逝した星野道夫さん。
アラスカを撮り続けた彼の死を追悼する一冊です。
この本が出版されたのは1998年。
当時私は学生で、自分がどうしたいのか模索していた時でした。
「人は誰も、それぞれの光を捜し求める、長い旅の途上なのだ」
「人と人が出会うことは、限りない不思議さを秘めている。あの時あの人に出合わなかったら、と人生をさかのぼってゆけば、合わせ鏡に映った自分の姿を見るように、限りなく無数の偶然が続いてゆくだけである。が、その偶然を一笑に付するか、何か意味を見出すかで、世界は大きく違って見えてくる」
もし今も星野さんが生きていたら、会って話をしてみたかった。
早明浦と言う地名について(早明浦)
日本歴史の中でも、源氏と平家の勢力争いは、最も有名で深刻なものでありました。
屋島の戦い、壇の浦の決戦などは、皆様のよくご承知のことであります。
それ以来、全国至る所で、両勢力の闘争がくり返されたものでありました。
ある平家の残党(生き残った仲間)が、源氏の兵どもに追われて、吉野川をさかのぼりつつ、この地まで落ちのびて来た時の話であります。
源氏の兵どもは、それを追って、鳥越峠(現在のさめうら荘の近く)を越えて逃げて行く平家の残党を、今夜中に、ここで一気に全滅させようと、勇みに勇んで、この峠に立ちましたが、幸か不幸か夜は白々と明け始めていました。
この時、峠に立って、西の方を眺めると、あたりは一面の雲海で海を思わせる風景であったのでしょう。そこで、源氏の大将は峠に立ちはだかり、
「えれ、残念、早や夜が明けたか。」
と地だんだふんで残念がったということであります。
平家の残党は、夜明けを幸い、落ちのびることができました。
こういう伝説が、いつか早や明けの浦となり、早明浦となったということであります。
澤田南海男(館報)ー「土佐町の民話」より