笹のいえに出会う前、循環できる生活を夢見ていた僕たち。
自分たちから出た排泄物も土に還し、その大地の上で暮らそうという想いに至るのは、とても自然なことだった。移住先の家ではコンポストトイレを使って、毎日出てくる僕らの分身を無理なく無駄なく処理したいと考えていた。
笹にあったトイレはもともと汲み取り式(「厠」という言葉がピッタリな佇まいだった)。
これをコンポストトイレに改修するにあたって、
・自分たちで作り、直せること
・部品はあるもので、もしくは安易に手に入ること
・手入れと掃除が楽なこと
が大切だと考えた。
ネットで世界のコンポストトイレを検索したり、すでに実践してる友人のを見せてもらったりして、イメージを膨らませていった。
一番参考にしたのは、以前住んでいた小笠原諸島父島にある宿のトイレ。
大用と小用とバケツを分けて用を足しそれぞれを処分するやり方で、これだと臭いがかなり抑えられるし、清掃も苦にならない。流す必要がないので、水も不要だ。
使い方も簡単。
おしっこのときは、便座に座り用を足す。水洗トイレと違うのは、使ったペーパーを屑かごに捨てること。ゴミは薪風呂を沸かすときにまとめて燃やす。
うんちの場合、全体が隠れるくらいくん炭やおがくずを掛ける。特にくん炭には細微な穴が空いているため、ここが微生物の住処となる。また炭は土壌改良材としても優秀だ。
バケツにある程度貯まったら、決めた場所に積んだり流したりする。バケツをさっと洗って、ときどき日に当ててから元に戻す。慣れるまでは、排泄物を自分で処理することが最大の難関だが、こういうものだと腹をくくればなんてことない。手についたら、洗えばいい。
毎年行っている夏キャンプで子どもたちがトイレ掃除をするとき、ほとんどの子が嫌々バケツから顔を背けながらやる。「おえ〜」「きたな〜い」そんな声も聞こえてくる。そんなときに「どうして汚いって思うんだろうね。さっきまで自分のお腹の中にあったのに」と質問すると、うーん、と考え込んでしまう子がいたりして面白い。
僕はトイレに関してよっぽど言いたいことがあるみたいだ。長くなりそうなので、後編に続きます。