「ぼくにだけ見えるジェシカ 」 アンドリュー・ノリス作, 橋本恵訳 徳間書店
コロナ感染防止対策に明け暮れた2020年。様々な事柄にコロナ禍の影響が感じられます。
なかでも子どもの自殺率が倍加したとのデータには、ただただ心が痛むばかりです。 大なり小なり、人は生きていく中で一度は「ここで命をたったら楽になれる…」と思うことがあるかもしれません。そんなとき、踏みとどまらせてくれるのは家族や友人の存在、あるいはお気に入りの本の中のひと言が、「あと一日だけ生きてみる」支えになってくれるかもしれません。
フランシスはファッションに興味がある男の子です。ところがそのことが校内みんなに知られて以来、フランシスは学校で孤立してしまいます。誰からも距離をおかれたフランシスに寄り添ってくれたのが、幽霊となったジェシカでした。見えないはずのジェシカの姿をフランシスだけは見ることができたのです。ファッションに興味があるフランシスを当たり前に受けいれ、その才能を評価してくれるジェシカのおかげでフランシスは少しずつ自信をとりもどしていきます。
そんなとき、また一人、ジェシカを見ることができる仲間ができます。ジェシカを見られる条件は?そしてジェシカが幽霊になったそのわけは?
毎日を精いっぱい生き延びている人たちにそっと手渡したい物語です。