4月に「場を拓く」というタイトルで「本のあるちいさな集いの場を拓きたいと思っている」と書かせてもらった。その時はまだまだ先のことになるだろうと思っていたのだが、いろいろなご縁のおかげで、見晴らしの良い山の中腹に“ラポール@川﨑”(大川村川﨑139番地)という拠点を持つことができた。ラポールとはフランス語で「橋を架ける」を意味し、相手を受入れ、お互いに信頼し合っている関係を表す言葉である。ここを訪れた人たちがひと時でも、心穏やかに過ごせる場所になることを願って、ラポールと名付けた。
先日、とりあえず本が書架に収まった段階で、プレオープンと称して場を拓いてみた。誰も来なくてもがっかりしないぞ、と思っていたのだが、嶺北地域内外から十数名の方が訪れてくださった。都合をつけてお出かけ下さった方たちを前に、ラポールを拓くことになった経緯やどんな場所にしたいかなどを伝えるとともに、口承文芸の「語り」を聴くことを通じて味わいが深まった、古典文学についてのミニ講座や、おとなにも楽しんでもらいたい絵本のブックトークを行った。これからも来訪者の様子を見ながら、文学の話や本の紹介の時間を設けてみたい。
講座の後は、軽食を摂りつつおしゃべりをする人、本を読む人、コーラスを披露するグループもいれば、山の風景を楽しむ人など、思い思いに過ごし、それぞれのタイミングで辞していかれた。自由気ままに過ごしている方たちの様子がなんとも素敵で、うれしい気持ちになった。ラポールが今後どう育っていくのかは分からないけれど、この場所で経験するすべてを受け止めたいと思っている。もうしばらくは不定期開館となるが少しずつ、開館日を増やしていきたい。
ちなみに10月は3日(金)、23日(木)、両日とも10時から16時までの開館を予定している。どんな場所なのか覗いてみたいと思われたら、気軽にお越しください。