春がやって来て、うちの小学生が三人になった。
記念すべき新学期初日に、僕は三人と一緒にバス停までついていくことにした。
朝日の当たりはじめた細い林道にランドセルがみっつ、右に左に揺れながら進んでいく。
背負った大きな荷物にまだ慣れない次男を気遣ってか、姉兄はつかず離れず、ゆっくりした歩調で歩いている。兄は弟に学校の様子や心構えのようなことを一丁前にレクチャーしてる。
彼らは、六年生 四年生 そして一年生になった。
だから、この風景は一年間限りだ。
あれ?でも、うちにはまだ年少さんと一歳児がいるから、また見られるのかな?
歳の差を頭で計算していたが、答えが出る前にバス停に到着。
程なくバスがやって来て、目の前に止まった。
乗降口が開いたけれど、どうしたらいいかわからない弟の背中を、姉がとんと押して、乗り込んでいく。座席を指差して座らせ、自分は隣に座った。普段喧嘩ばかりしているが、こんなとき兄弟っていいなと思う。
ドアの閉まるブザーが鳴り、バスは発車した。
僕は家までの帰り道をひとり歩きながら、「そうか、五人中、三人小学生になったのか」としみじみ思う。