連日しっかり寒くて、なかなか外で遊ぶ気になれなれず、子どもたちとストーブの前から離れられないでいる。しかしある日、意を決して公園に行こうと提案すると、やっぱり退屈していたのであろう彼らは、二つ返事で「OK!」と言った。
近くの公園に到着するとすぐに走り出す子どもたちは、とても楽しそう。誘ってよかった。
ブランコや滑り台で遊んでいる四人を見ながら、自分が最近運動らしい運動をしていないことに気がついて、僕はちょっと走ってみようと言う気になった。
足元は長靴だけど、まあとりあえず、敷地内をぐるっと5周くらいしてみようかと軽く走りはじめた。間も無く運動大好き長男が「オレも」と併走してくれた。普段走ることなど皆無な僕はゆっくりとではあるけれど、地面を蹴り、風を切る感覚を楽しんでいた。
最後の一周になって、息子を追い抜いてやろうと考えた。「父ちゃんもまだまだやるのだ」というところを見せてやろうと。相手は育ち盛りとはいえ、ただの小学二年生。よもや負けることはあるまい。
少しスピードを上げると、彼も同じ速度で付いて来る。しかも僕の少し前を走り、負けないぞ感を醸し出している。僕はさらにペースを上げる。が、彼も加速し、僕は彼を抜かすことができない。ちらちらと僕を振り返る余裕すらある息子。親の威厳に掛けて、力を振り絞る僕。48歳の父ちゃんと8歳の長男は、いつの間にか全速力でデットヒートを繰り広げることになっていた。
ゴールの途端、ふたりでしゃがみ込み、あがった息を整えた。
天を仰ぎながらショックを感じていた。僕の体力はすでに小二以下だったのだ。
「いやでもほら、長靴だったし」「そういえば、左膝が痛い気がする」
という言い訳が一瞬頭を巡ったが、それらを差し引いても、自分の体力の衰えと彼の成長を認めるしかなかった。
日々成長していく子どもたちに対して、老いていくしかない僕。
それはもう変わりようのないの現実だが、ちょっと悲しい。
それにしても、この爽快感は久しぶりだ。ともに汗を書き、力を出し切る。長男との体験の共有は記憶に残るであろう貴重な時だった。
興奮した気持ちのまま、しばらく童心に戻って、子どもたちと一緒に遊ぶことにした。
そして、いつもと違う彼らの反応に気がついた。