なぜ「笹のいえ」であるか、
というご質問をよくいただく。
答えは簡単。僕らが暮らしているこの家は、ずっと昔からそう呼ばれてきたから、です。
移住先を探しているとき、その土地でなにか商売をするなら、その家なり場所なりで使われてきた名称や屋号をそのまま受け継ぎたいとぼんやり考えていた。
土佐町に引っ越してきて、地域の方に、あの集落のあの家に暮らしていますと説明すると「ああ、笹に住みゆうかよ」と言われる。そして、「子どものころ、あっこ(あそこ)でよう遊んでねえ」と昔話に花が咲くこともある。笹のいえの大家さんである伊藤万亀江さんは「笹のおばちゃん」と呼ばれている。
名の由来を調べてみると、母屋がある住所の字(あざ)が「笹」ということが分かった。周りに笹(竹)がたくさん生えているので、そう名付けられたのかもしれない。それがそのままこの家の屋号になったのだ。
地域に親しまれている名前があるのなら、それを屋号に使いたい。宿を立ち上げるとき万亀江さんにそう伝えたら、「そら、えいねえ」と言ってくれた。