「ちいさいモモちゃんあめこんこん」 松谷みよ子文, 中谷千代子絵 講談社
昭和55年5月10日。この日付と松谷みよ子さんのサインがこの本に書いてあります。松谷みよ子さんご本人が、この本に私の名前を書いてくれている風景をうっすらと覚えているのですが、なんと今から39年前!こどもの頃の記憶は案外たしかなものです。
ももちゃんが「まっかなかさ」と「まっかなながぐつ」を買ってもらって外に遊びに行き、カエルやかたつむりと出会う、というお話。
「あめこんこん ふってるもん うそっこだけど ふってるもん あめふりごっごするもん よっといで」
子どもたちと絵本を読む時、このセリフを言う私の口調が驚くほど母に似ていることに、はっとさせられます。ああ、母もこんな風に読んでいた、と記憶が蘇ってくるのです。日常の中にあるふとしたこんな瞬間は、母が手渡してくれた確かなものが私の中にあることを教えてくれます。
そんな記憶を、私も子どもたちに贈ることができたらいいなと思います。
鳥山百合子