「知識ゼロでも分かる日本酒はじめ」 SSI認定利酒師酒GO委員会著, 片桐 了漫画, SSI日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会監修
”新年あけましておめでとうございます”というのを今頃言うのも、素晴らしく野暮天ですね。どうぞ悪しからず。
新年そうそう出遅れてしまった私の一冊ですが、今回は『知識ゼロでも分かる日本酒はじめ』という本でお送りします。(年末年始暴飲暴食で体調を崩していた訳では無いですよ!!決して!!!毎回世間が賑わう時期はアテられて精神的にグロッキーなのです…。)
さて、どうして新年一発目がこのチョイスなのかというと、やはり年末年始のおきゃく、お屠蘇、神前仏前へのお神酒など、日本酒が欠かせないですよね。
更に、特に今の時期はどの酒造会社も、杉玉が熟した焦げ茶から、つやのある深緑に変わる時期です。私の住む酒造会社のある地区でもこの時期は、やはり、特別な時期なのです。
いつだったでしょう、高校生のころ早朝の寒稽古に行くため、裏口を出た瞬間でした。自分が吐いた真っ白な息と、辺り一面に漂う濃厚な、あまくふくよかな酒精の香り。霜が降りて全部蒼く凍えている中、道向かいのレンガの煙突からもうもうと綿飴のような湯気があがっていました。(今年もお酒ができたんだなぁ…)となんだか少し嬉しくなった思い出があります。
正式な社名は「株式会社土佐酒造 桂月」ですが、以降地元の呼び名”桂月”で通します。
さて、私の家族は桂月と共にあったと言っても過言ではありません。
「おまんくには桂月からパイプが通っちゅう」だの、「蛇口を捻れば桂月がでる」とまで言われる始末。お付き合いは初代社長からあったようで、祖父はその時からのヘビーユーザーです。そして桂月銀杯ひとすじ。
今回の著書の解説によると桂月銀杯は本醸造酒にあたり、大衆向けでどんな料理にも合い、燗にしても常温でも冷でもいけるタイプのようです(あってるかな???間違ってたらごめんなさい)。
ちなみに祖父は仕事から帰ると、桂月のワンカップ(耐熱)に一升瓶からまけまけいっぱい注ぎ、それをちゅちゅっと啜り適量にし、レンジで1分から1分半の燗にして飲みます。アテは基本的に竹輪の確率が85%ほど、たまに刺身や揚げ物。物心着いた時には行われていたルーティン。今もほぼ変わりません。
あいた一升瓶をためて、物置から74本も出てきた時は、(すぐ側で庭が広いきお客さんに駐車場と間違われるし、社員の家と間違われて「今日あいてますか?」なんてざらやし、それで案内しちゃったり、うちの物置も桂月の空き瓶置き場でええんちゃう?)と思ったことでした。
ちなみに、この祖父の夕方のルーティンは17時半頃なのですが、小学生低学年のある残暑厳しい日、あまりにも喉が渇いたので祖父母の家に寄りました。出来ればジュースがいいなと思いつつ冷蔵庫やら、戸棚やらを物色したのに、麦茶ひとつない!もう水でいいかと思ったところに、都合よく桂月のワンカップに入った水が。コレ幸いとゴクゴクと…そこに祖父登場。「あらァ!!そりゃワシのぜよおぉ!」という誤飲事故もありました。小学生の私は(怒るとこそこ!?)と思いながら、蛇口から水を飲んだ記憶があります。
あの時は不味かった日本酒も、好きな傾向もある程度定まって楽しめるようになりました。しかも今年度からは家族全員で、あーだこーだと言いながら飲めるのです。
今は桂月でアルバイトもしているので、著作の解説と現物を見ながらより深くお酒のことを知ることが出来ます。著作では、日本酒が大きく吟醸酒、純米酒、本醸造酒の3つにわかれることと、そこから更に香味を分ける、熟酒・醇酒・薫酒・ 爽酒の4つの分類法。甘口と辛口の違いや判別の仕方。また、料理とのペアリングの仕方である、ハーモニー、マリアージュ、ウォッシュについても触れられています。詳しくは読んでください(笑)。
参考までに私は、爽酒の生酒に目がないです。桂月で言えば冬季限定蔵出し生原酒です。少し冷凍に入れて雪冷えの生原酒を飲みだしたら止まらないやめられない。アルコール度数はちょっと高めですが、くせも少なく喉越しもライトで苦手な人で手が出しやすい気がします。あと甘酒は無いと困るほど飲んでいます。
高知県民は特に、老いも若きも飲むこと食べることが好きですよね。
飲みあわせに関しても、各々かなりこだわりがあるように見受けられます。大酒飲みも多いですし、酔うことが好きです。
新成人の皆さんも、両親や友人や職場の人達と飲んだり食べたりして、こだわりを見つけていくのだと思います(弟よ、あんたもだぞ!!)。
でも何となくお酒との付き合い方が分からなくなったら、今回のような本に手を出してみるのもいいかと思います。結局は自分の好みが大事ってかいてますから。
では、お後がよろしいようで。