2020年11月

笹のいえ

ゴトゴト

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「まあゴトゴトやりよってよ」

収穫作業のお手伝いに行ったとき、何度かこんな言葉を掛けられた。

ゴトゴトとは、土佐弁で「ゆっくり、慌てずに」と言う意味だ。

慣れない作業をする僕に、まあ焦らずゆっくりやってよ、と気を遣っていただいたのだ。そのとき、頑張らなくては!と張っていた気が少し緩んだ。

毎日土佐弁に接していて、ひとつの言葉が心を温めてくれることがあるんだなと思うことがある。千葉にいたときも千葉弁があったが、そのころは方言というものをあまり気にしていなかった。高知にも千葉にも、そしてどの場所にもその土地の言葉がある。途絶えることなく世代から世代に繋がり、時代とともに変化して来た地域の歴史だ。

日頃年上の方々と交流する機会があるからか、僕の話す土佐弁には今では珍しい言葉を使うことがあるらしい。ある人との会話で、もうすっかり土佐人やね、その言葉はわたしらもよう言わんきね、と相手に褒められた(?)ことがあった。年齢によって使う言葉が違うが、その塩梅がわからない。

ネイティブの域にはまだまだ程遠い僕の土佐弁。間違いや聞き辛いところがあっても、どうぞご容赦ください。

 

写真:朝の登校前、宿題に勤しむ長男。「なんでもやりたい時期」真っ只中の彼は、毎日のように習い事をしてる。火曜日はスイミング、水曜日はダンス、木曜日は空手、金曜日はダンスとスポーツクラブ、土曜日はカヌー。日に30分と約束している電子ゲームもやる暇がないほどだ。帰りが遅い日は、翌朝普段より早く起きて宿題をすることもある。勉強も遊びもゴトゴトやったらいい。

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お母さんの台所

しょうがのかき揚げづくり

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高知県はしょうがの名産地。

10月頃からしょうがの収穫が始まります。自宅の畑で育てている人も多く、毎年、近所の方から両手で抱えるような大きさのしょうがをいただきます。しょうがには殺菌作用や体を温めてくれる力があります。そのしょうがを使ってシロップを作るのが毎年の楽しみです。

11月のある日、土佐町溜井地区で農業を営む和田計美さんの元へ、畑仕事の手伝いへ行きました。

楽しみは、その労働の報酬として用意されているお昼ごはん!お米はもちろん、野菜から保存食まであらゆるものを手作りしている計美さんのごはんは、とびきり美味しい。この日いただいた「生姜のかき揚げ」の美味しさをどんな言葉で伝えたら良いのでしょう!

その作り方を教えてもらいました。

 

 

揚げると、しょうがの辛みは甘さに変わるのでしょうか?びっくりするほど甘い!パクパクといくつでも食べられます。

計美さんは、しょうがのかき揚げの他にも色々なおかずを用意してくれていました。たけのこの煮物、切り干し大根の煮物、大根の抜き菜としょうがとじゃこを和えたものも。畑から生まれるごはんは、身体の内側から元気になるような気がします。

毎日畑に立ち続ける計美さん。今もきっと、せっせと仕事をしていることでしょう。心に浮かぶその背中から「明日も頑張ろう」という力をもらっています。

 

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私の一冊

西野内小代

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「世界を変えた10冊の本」 池上彰 文藝春秋

・アンネの日記
・聖書
・コーラン
・プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
・資本論
・イスラーム原理主義の「道しるべ」
・沈黙の春
・種の起源
・雇用、利子および貨幣の一般理論
・資本主義と自由

この10冊が選ばれています。宗教・経済・思想・公害…。人類が尊厳ある人間として存在していく為の根拠が記されている10冊のように思われます。

嚙み砕いて要点のみを簡潔に説明しているので、その一冊を読んだ気になってしまいます。

 

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私の一冊

浪越美恵

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「沈まぬ太陽(一)アフリカ篇・上」 山崎豊子 新潮社

この本は(一)~(五)まであるのですが、まだ(一)だけしか読んでいません。巨大な航空会社のおそるべき裏面と暗闇…。

時代と組織に弄ばれた主人公の苛酷な左遷。現代の流刑の徒を鮮烈に描くとありました。

山﨑豊子さんは緻密な取材で知られていますが、航空会社や出て来る人達の名前がなんとなく想像できます。組織の冷たさや怖さの中での、主人公の苛酷な運命が気になり、早く次を読んでみたいと思いました。

 

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山の手しごと

ゆず絞り

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11月。山里の道ぞいや家の庭先にころんとした丸い「黄色」が加わります。その風景は、まるで隠れていた小さな星たちが姿を現したように見えます。

11月の初旬、土佐町の浪越美恵さんからお電話をいただきました。

「ゆずの玉、いる?」

玉?たま?タマ?玉って何だろう?

 

「うちは今年のゆずをもう絞ったんやけど、まだたくさん残っているの。よかったらいるかしら?」

もちろん!

ということで、浪越さんのおうちに伺いました。

大正時代に建てられたというご自宅。台所の入り口に一歩足を踏み入れた瞬間から、もうその空間はゆずの香りでいっぱいになっていました。

 

絞るのは、ご主人の泰さんの仕事です。

 

半分に切ったゆずを入れ、ハンドルをおろします。ぎゅーっと絞った果汁をコップにためていきます。

「この道具はおばあちゃんが使いよった。30年といわんかな?30年以上使ってもびくともしない」

ハンドルや本体は分解することができ、全部を洗うことができます。

 

絞った果汁を濾しながら、瓶に入れて保存します。高知県では絞った果汁のことを「柚子酢(ゆのす)」といいます。

 

「めんつゆに柚子酢を入れると、美味しいポン酢ができるよ。安いし、自分好みの味ができる!」と泰さん。これからの季節、鍋や湯豆腐を作った時に重宝しそうです。

 

ざんざん洗うて洗うて、ゆるゆるがなくなるまでやって乾燥させた」というゆずの種。25度の焼酎につけると、化粧水ができます。美白効果があるそう!

柚子酢はお寿司やドレッシング、皮はジャムに。冬至にはゆずを入れたお風呂に入る。ゆずには無駄なものがひとつもない、まさに「玉」ごと使えます。

絞った果汁は瓶に入れ、涼しいところに保存します。

土佐町の多くの人たちは、毎年この時期に一年分のゆずを絞ります。一年間という暮らしのなかに、その季節ならでの仕事がある。それは、とてもゆたかなことです。

お土産にゆずの玉をどっさりいただきました。早速絞って、小さなペットボトルに入れ、何本か冷凍しました。「こうしておくと味が変わらずに一年間使える」と、以前別の方から教えてもらいました。使いたい時に解凍します.

 

冷凍庫に並んだ柚子酢を見るたび、浪越さんの顔を思い出します。そして今年一年、柚子酢は大丈夫だと思えるのです。その安心感たるや。なんて贅沢なのでしょう。

浪越さん、ありがとうございました!

 

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とさちょうものづくり

カレンダーBANGAIHEN

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とさちょうものがたり編集部と嶺北の3つの障がい者支援施設が合同で制作販売している「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」。みなさまもう実物はご覧になっていただけたでしょうか?

 

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

 

今回は、そのカレンダー制作の裏側を少しご紹介したいと思います。題して「2021年カレンダーBANGAIHEN」(番外編)。

このカレンダーで使われている数字や文字は、障がい者施設のメンバーさんたちが描いたものですが、原稿として描いてくれたものを全て活かせているわけではありません。

とてもいい!だけど惜しいかな、使えなかった!

そういった原稿をここで知っていただければ嬉しいです。

 

まずは下の数字。こういうのってなんと呼ぶのでしょう? 切絵?貼り絵?

 

©️しゃくなげ荘

 

上のものは、全く活かせなかったというわけではなく、カレンダーには入っています。

ただ、このカラフルな楽しい感じは、悔しいけど出せなかった。

そう、今回の「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」は赤と黒の2色刷りということを最初から決めていたので、この色使いを再現できなかったんですね。

 

このページのどこかに活かされています。

作り手としてはとても歯がゆい思いをした一件なのですが、かといって全ての色を活かそうとすると、カレンダーとしてはとてもわかりづらいものになってしまうのも事実。

カレンダーはやっぱりパッと見て平日と休日がわかるということに価値がある。そういう判断で、他のものも泣く泣く赤か黒のどちらかに変換して使用するという場合が多かったのです。

 

これも、この紙をちぎった感じは再現できない。。

色の問題以外にも、上のような「紙をちぎった」感触。これもなかなか再現するのは難しい。

この手触りが伝わるようなものを、次回は目指したいと思っています。

 

そして下の一枚。あまりにも別次元の一枚。

 

©️しゃくなげ荘

 

立体作品!?

横から見ると良くわからないですよね。ん?カレンダーに折鶴?どういうこと?ってなってしまう。

この原稿、俯瞰から見ると‥

 

©️しゃくなげ荘

 

数字になっています。

これはけっこう悩みました。どこかの月の「2日」で使いたい〜。でもこの立体感は活かせない。。スキャンするときに潰してしまうのもイヤだし。

考えた末に、この一枚はカレンダーに入っていないんです。実は今でも「入れたほうがよかったかも」なんて少し悩んでいる一件でもあるので、もしかした来年次のカレンダーを作る際には復活しているかもしれません。

 

そんなこんなでできあがった「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」、現在は順調に販売部数が伸びていっている状態です。みなさま本当にありがとうございます。

もうすぐ12月がやってきて、そして波乱の2020年も終わります。

心機一転新たな2021年を迎える際に、嶺北の多くの方々の思いがこもったカレンダー、ひとついかがでしょうか?

 

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

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会場へ一歩入ってまず感じるのは、懐かしい草の香り。まるで、風が吹く草原の中に入り込んだような、幼い頃の記憶が蘇ってくるようです。

2020年11月16日から土佐町の郷土学習センターで開催されている「草あそび 三人展」。

土佐町在住の山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんの三人が、2年という時間をかけて嶺北の山々と道々を歩き、集めた草花で作ったリースとスワッグ(花束のようにしたもの)がギャラリーいっぱいに飾られています。

連日たくさんのお客さまが訪れています

 

 

展示されているリースのひとつ:ガクアジサイ、アジサイ、ピラミッドアジサイ、ニゲラ、ヒャクニチソウ、ススキ、コシダ、セリバオウレンが使われている

使われている植物の名前と作者のイニシャルが記された小さな紙の札が、作品それぞれに結び付けられています。

高知県民にお馴染みのイタドリ、アジサイ、ススキなど多くの人が知っている植物もあれば、初めて目にする耳にする植物もたくさん。丁寧に記された植物の名前の数々を見ていると、植物にはそれぞれ名前があるのだということに気付かされます。そして、この作品を作った三人が注ぎ続けてきただろう、植物たちへの温かいまなざしを感じるのです。

 

集めた植物ひとつひとつに、それぞれの名前が書かれた札がついています。さめうらダムで見つけた流木も登場

 

「草あそび 三人展」の2日前、「三人」である山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんにお話を伺いました。

 

「自分たちも何かやりたい」

「今回の三人展のきっかけとなったのは、2018年の冬、高知県の牧野植物園で開かれた『標本展』でした。それは、園所蔵の標本が30万点揃ったことを記念した展覧会で、僕が作った標本も展示されました。全体の展示の仕方がとにかく素晴らしく、三人三様に深く感銘を受けました。その日のうちに、自分たちも地域で何かやりたいと思ったんです」

と直秋さん。

そのとき感じた「何かやりたい」という強い思いが、今回の三人展を開く最初のきっかけだったと言います。

山中さんのご自宅で話を伺いました

その標本展は「“アートを越えたアート”だった」と、まゆみさん。それからはどこを歩いていても、車で走っていても、常に「アートの目」で周辺の植物を見るようになったそう。

「植物を使って何かやりたい。集めておいたら何とかなる。まず集めてみよう」

それが2年前。

振り返ってみれば、その時すでに今回の三人展に向けての準備が始まっていた。今回の三人展はまさに2年越しの展覧会なのです。

 

材料を集める

三人は嶺北の山や野を歩き、材料を集め始めました。

さめうらダム近くでツヅラフジやクズカズラなどを採り、太さも長さも様々なツルを丸めて編んで乾燥させ、リースの土台を作りました。(昨年の秋、山中さんの家の軒先では丸く編まれたツヅラフジがずらりと干されていました)

山や野で集めた植物が乾燥させている途中でカビてしまったり、2年間たくさんの失敗を繰り返したそうです。

歩き回ることで今まで知らなかった植物に出会い、その名前を覚えていったと西峯さん。

今では嶺北の植物の特徴や生えている場所など、ほぼ把握するまでになったそうです。

天井から下げ、乾燥中の植物たち

 

乾燥させ、種類別に箱に入れて保管する

集めた植物は山中さんの家の一室の天井から吊るされ、乾燥できたものは、いくつもの段ボールに保管されています。

「家中が植物だらけ」

そう言って山中さんは笑います。

 

リースには定型がない

三人は、高知市のリース作家の個展へ足を運んで参考にしたり、インターネットや本で調べたりしながらリースを作り始めました。失敗を繰り返しながら作っていくなかで、教室に行くことも考えたそうです。

けれども、

「習ってしまったら、そのやり方になってしまう」「自分流にやってみよう」

そう気付いてから、自由に思うように作り始めたそうです。

 

乾燥させた植物たちがリースの材料になる。左から シシウド、チガヤ、ラッキョウ(花)、セリバオウレン

直秋さんは、かつて根っからの仕事人だったそうです。それまでものづくりをしたことがなかったそうですが、初めて作ったリースは、ご近所の畑で分けてもらったカラスウリで作ったとのこと。それがとても面白かったといいます。

リースは好き勝手に作って自分で楽しめばいいし、人に渡して喜んでくれればいい。そういう精神を持っちゅうな、というのがすごく気に入った。」

針金を下から巻こうが上から巻こうが、何の問題もない。本には“この材料を用意しなさい”と書いてあるけど、自分の身の回りにあるものを使えばいいじゃないか、と。

 

足元にあるもので楽しめる

そうして2年間、コツコツと制作してきた三人。その数はリースとスワッグを合わせ、185個にもなっていました。

「作るのは楽しい、見てもらうのも楽しい。『三人展』にどんな人が来るのか、どんな反応をするのか。これからどんなことが起こるのかがとても楽しみ」と話してくれました。

「身の回りにある植物たちを少し知ることで、世界が広がってくる。そういう感じになる人が増えてくれれば一番いいなと思う。足元にあるもので楽しめるんだと感じてもらえたら」

そう話す三人は、やり切ったという満足感で満ちていました。

展示されているシロバナタンポポ

「天まで届け!」

最後に、まゆみさんが話してくれました。

「ものづくりは私を支え続けてきてくれた。この三人展を見て、周りの人はもちろん、亡くなった母へも届くことはきっとあると思う」

そして、

「この楽しさが『天まで届け!』という気持ちになるんよ」。

嶺北で育った植物たちに込められた思いは、きっと多くの人に届くことでしょう。楽しさも愛情も人の心に伝播していく。そう思います。

 

山中直秋さん、山中まゆみさん、西峯弘子さんの三人展は、11月25日まで。

会場にいる三人に、ぜひ何でも聞いてみてください。三人は、その作品が持っているものがたりを話してくれると思います。

多くの人に、嶺北の植物の世界、そして、ものづくりの楽しさを感じてもらえたらと願っています。

左から 西峯弘子さん 山中直秋さん 山中まゆみさん

 

「草あそび 三人展」

会期      11月16日(月)〜25日(水) 10時〜16時

会場      土佐町郷土学習センター(青木幹勇記念館)

住所      土佐町土居437 

お問い合わせ  0887-82-1600

 

 

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くだらな土佐弁辞典

しょうたれげ

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しょうたれげ

【形容詞】だらしない

 

例文①: しょうたれげにせずにきちんと洗いや  訳:だらしなくせずにきちんと洗いなさい

 

 

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メディアとお手紙

お葉書が届きました

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製作したカレンダー「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」についての記事が、11月 5日付の高知新聞に掲載されました。

その数日後、一本の電話がかかってきました。電話の主は四万十市の黒田さん。とても丁寧な方で、声色から80代くらいの方かなと思いながらお話を聞きました。

「高知新聞を読みました。カレンダーを一部、購入したいです。私も何かできることはないか、支援がしたいと思って」とのこと。

カレンダーをお送りしてから数日後、一通の葉書が届きました。

【高知県四万十町 黒田里枝さんより】

カレンダー、早速お送り下さいまして有り難うございました。

令和三年もいい年になりそうです。みな様が一生懸命書いて下さったお姿を創造して感謝して居ります。大切に使わせて頂きます。

先生始め、みな様のご健康と幸を御祈りして御礼と致します。

黒田里枝 90才

神社前できれいなお花を持ったおはがき、有難うございました。

 

黒田さんは、なんと90才とのこと。心のこもった文面がとても嬉しく、何度も読み返しました。

お礼の電話をすると「早速飾っていますよ。ありがとうございます」。

黒田さん、こちらこそありがとうございます!

黒田さんにいただいた葉書は大切に飾っています。

 

*「2021年カレンダーTOKUBETUHEN」は、ただいま発売中です!

2021年カレンダーTOKUBETUHEN販売開始!!

カレンダーの販売先が増えました!

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私の一冊

浪越美恵

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「太陽の棘」 原田マハ 文藝春秋

原田マハさんの小説は、いつも一気に読んでしまいます。

いつの間にか本に引き込まれ、そこにいる登場人物の気持ちになり、景色を想像し、最後はいつも心地良い。

膨大な資料を元に、まるでノンフィクションように書かれた本が多いですが、とてもおもしろくて読みやすく、その筆力に感激します。この本は、第二次世界大戦後、まもなく、沖縄のアメリカ軍基地の軍病院に派遣された若い精神科医が、貧しくても輝いている芸術家達との交流を通して人生の意義を見出していく。

本の最後にありました、著者の謝辞の言葉を書いておきます。

本作は、サンフランシスコの精神科医、スタンレー・スタインバーグ博士との出会いなくして、生れ得なかった。

本作執筆にあたり、数々の貴重な資料の提供と、また博士が精神科医として、1945年から50年まで、沖縄アメリカ陸軍基地に勤務し、ニシムイ美術村の芸術家達との交流した記憶をすべて語っていただいたことに深く感謝申し上げる。以下略。

 

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