このブログでも紹介した飼い猫おこめが、去年のゴールデンウイーク前に旅立った。一週間ほど食欲がなく、様子を見ていたが、体調が急変し、動物病院に連れて行ったけれど間に合わなかった。推定年齢8歳。まだまだ生きられたはずなのに。僕は、冷たくなった彼女の身体をさすりながら「ごめんな」と繰り返していた。
その後しばらく僕は、なんとなく心がポッカリと穴の空いた状態だった。気持ち的にはまだ喪に服していた数ヶ月後、友人から「友達が実家に戻らないといけなくなったので、猫の引き取り先を探している」と連絡が入った。最初は断ったが、飼い主さんと共通の友人知人が多いらしく、別ルートで数名からも声が掛かった。
SNSで猫の写真を送ってもらってビックリ。身体の模様や体型がおこめにとてもよく似ていた。
「これはもうご縁だな」と思ったし、子どもたちも新しい家族に大賛成。猫を受け入れることにした。
うちに来る前は「まるちゃん」という可愛い名前だったが、長女が「いねお」(漢字にするとたぶん「稲雄」)と呼びはじめたことから、急に硬派なイメージになってしまった。
名前が男らしくなっても、彼はとっても甘えん坊だ。
人を見つけると、「にゃーん」と近づいてきては足元にじゃれつく。あまりに足に絡まってくるので、よく踏まれたり蹴られたりしてる。そのうちに距離を置くのかと思いきや、今でも相変わらず身体を擦り付けに来る。
そして、食いしん坊。
朝はまだ暗いうちから「そろそろ、ご飯の時間だよ」と僕に話しかけてくる。ある朝のこと、時計を見ると4時過ぎ。流石にまだ早いと再び寝ようとすると、僕の頭を舐めてきた。猫特有のあのザラザラした舌で、僕の坊主頭を「ザリッザリッ」と舐めて僕を起こそうとする。同じ場所を何度も舐められると痛い。頭皮にも悪い気がする。
布団を頭から被ると、今度は障子に爪を立てる。障子紙を破られては堪らないと、渋々起床する僕。
「にゃ〜ん」と勝利の鳴き声をあげて、いねおは嬉しそうにご飯を頬張るのであった。