「はははのはなし」 加古里子 福音館書店
懐かしい!と声を上げる方も多いのではないでしょうか?
加古里子さんの本「はははのはなし」。
「歯は大事!虫歯にならないよう、栄養のあるものをよく食べて、運動をして、歯磨きをして、元気に大きくなろうね!」という子どもたちへのメッセージを、真面目に、ユーモアたっぷりに伝えてくれます。
「ちいさなかすが はのまわりにのこります。こののこりかすをえさにして ばいきんがふえます。ばいきんは かたいはをとかす さんをつくります。」
よく考えると恐ろしいことを、あっさりとわかりやすい言葉で伝える加古さん。この文章には、白い元気な歯がどんどん溶けて大きな穴があき、最後には半分になってしまう絵が添えられています。かなりリアルで、小さな子どもは震え上がること間違いなしです。
子どもたちにせがまれて何度も読んだこの本の一番の見せ所は、やはり最後のページ。
「こどものはは20ぽん おとなのはは32ほんあるのがふつうです。
だからこどものはは
はははははははははは
はははははははははは
おとなのはは
はははははははははははははははは
はははははははははははははははは
となりますね」
そして最後は
「それではみなさん さようなら はっはっはっ。」
で終わります。
読んだ後の爽快感といったらありません。
加古さんが世界を見つめるまなざしはいつもあたたかく、子どもたちへの信頼に満ちている。
「おーい!子どもたち。世界は面白いよ!不思議なことでいっぱいだよ!」
そのメッセージを子どもたちはちゃんと受け止めています。子どもたちの顔を見ていたら、そのことがよくわかります。