「児童文学の中の家」 深井せつ子 エクスナレッジ
こどもの頃楽しんだ物語には、美味しい食べものがたくさん出てきました。タフィー、チョコファッジ、木イチゴのタルト、レアケーキ、クランペット、ジンジャ―ビスケット…。どれも未知のお菓子ばかり。端っこでいいからかじってみたい!と、どんなに願ったことでしょう。
それと同じくらい憧れたのが主人公たちの部屋や設え、衣装などでした。異世界に通じる衣装ダンス、ふくらんだ袖、グログランレース、丸太を組んだログハウス、干し草の匂いのベッド、星の見える屋根裏部屋…。どれもすてきで、畳敷きの自分の部屋をとてもつまらなく思ったことでした。
この本では『ライオンと魔女』、『床下の小人たち』、『大きな森の小さな家』、『ハイジ』、『赤毛のアン』など計27作品が取り上げられており、家の間取りや家具や道具等が柔らかなタッチで描かれています。もう少し詳細に描いてほしかったと思うところもないでもないのですが、それはそれ。「想像の余地」があるのもすてきです。
しばらくぶりに、アンやハイジ、ローラたちにあいたくなりました。