「#マイネーム」 黒川裕子 さ・え・ら書房
名前って不思議です。誰もが持っているものなのに、自分で自分に名前をつけることはできません。呼んでもらいたい名前もあれば、呼んでほしくない名前もあるでしょうに…。
主人公の名前は美音(みおん)。この名前はパパが私につけてくれた素敵な名前。ママは「結婚して名前が変わったとき、感動して泣いちゃった」と言っていたのに、性格の不一致で二人は離婚。中学生になった春、美音は坂上美音から戸松美音になります。
中学生活スタート初日、担任から生徒たちのこと、またお互いのことも名字にさんをつけて呼ぶ「SUNさん運動」を取り入れることになったと告げられます。地元中学生限定Nスレッドに(自分の名前が嫌いな奴集まれ #マイネーム)の呼びかけを見つけた美音は、自分の呼ばれたい名前を書いた名札を付けて登校します。 #マイネームに賛同する子もいれば賛同しない子もいます。養子縁組で名前の変わった子や在日コリアン、あるいは夫婦別姓を選んだカップル等など、「なまえ」に対する考えはそれぞれ違います。
違いはあっても正直な思いを伝え、考えを話すなかから浮かび上がってくるのは「誰にも支配されない、世界で一番自由な“自分”」でありたいという、譲れない想い。
私って、いったい何者なのだろう…?