「六人の噓つきな大学生」 朝倉秋成 KADOKAWA
優秀な就活生六人の関わりを描いた作品。それぞれの個性が際立ち、秀でた描写力で迫ってくる。
伏線に更に伏線が重ねられている、油断大敵である。読み手は作者の意図通り、翻弄されるがままとなる。
最終選考に残った6人の優秀な就活生の中に、自分以外を排除して内定をとりつけようと画策する卑劣極まりない犯人がいる。その6人の中で唯一入社できた一人が入社6年目にして、ふとしたきっかけで、真の犯人探しを始める。
その奮闘と精神状態を綿密に描くことで、読者を混乱の渦に巻き込む。最終ページまで心がざわつく。