たぶん誰もが知っているユキノシタ。
日本と中国が原産の常緑多年草です。
平地から山地まで広く分布します。谷沿いや半日陰のやや湿った場所に自生して群落をつくっていますが、人家の庭や石垣で観賞用に栽培されることも多い植物です。
漢字表記が雪の下・雪の舌・虎耳草・鴨脚草・金糸荷など多くあり、由来も色々です。
順に語源を探ってみましょう。
雪の下
先ずは「雪の下」。
たくさん咲いた白い花を雪や雪虫に見立てて、その下に葉があるからというものです。
花期の長い植物で、5月頃に咲き始めて7月頃まで花が見られます。
6月の今は最盛期で、花はこぼれんばかりに咲いています。
常緑なので冬になって雪が積もってもその下に枯れずに緑の葉があるからとか、あるいは葉っぱの白い斑を雪に見立てたものだという説もあります。
雪の舌
次は「雪の舌」。
垂れ下がった2個の花弁が舌のように長く、なおかつ雪のように白いからというものですが…どうでしょう?
しっくりくるとは言い難いような、そんな気がしますが…
特徴的な5弁花です。上側の3個の花弁は小さく、1個の長さは3~4㎜です。白色~淡い紅色の地に赤色の斑紋と基部に黄色の斑紋があります。長い方の花弁の長さは15~20㎜です。
珍しい色合いと形をしているのですが、ユキノシタに似た花を咲かせる植物もあります。
秋に咲き、やや奥深い山地に育つジンジソウ(人字草)とウチワダイモンジソウ(団扇大文字草)です。どちらもユキノシタ属の仲間で土佐町にも分布しています。

ジンジソウ 2016年10月撮影
ジンジソウは「人字草」と書き、下に垂れた2個の花弁の姿を漢字の「人」に見立てたことに由来します。上側の小さな花弁にある斑点は黄色です。

ウチワダイモンジソウ 2019年10月撮影
ウチワダイモンジソウはダイモンジソウの変種です。
葉の形を団扇(うちわ)に、花の形を「大」の字に見立てたものです。花弁に斑紋はありません。
虎耳草
ユキノシタは漢名を「コジソウ(虎耳草)」といい、日本では別名としてふつうに使われます。
由来は毛が生えた肉厚の丸い形の葉を虎の耳に見立てたもので、脈に沿って入っている縞模様の斑もトラを連想させるというものです。
虎耳草は生薬名でもあり、民間薬としていろいろ利用され、また非毒性のユキノシタは一年を通して採れる山菜として重宝されている一面もあるようです。
「鴨足草」というのは、5弁の花が鴨の足に似ていることによる名前だそうです。
「金糸荷」の由来は分かりません。