「はたらくことは生きること」 石田 榮 羽鳥書店
「働くことは生きること、いっしょうけんめい生きること。」
これは名著です。
現在90代のアマチュア写真家・石田榮さんの写真集。昭和30年代の高知県、主に第一次産業で働く市井の人々の姿が生き生きと残されています。
石田さんは、満州からの引き揚げ者から「徳国(とっこく)」という名のカメラを譲り受け、仕事が休みの日曜日に撮影していました。
高知の農村や漁村、石灰鉱山などに通い、そこで働く人々に優しい眼差しを向けています。
時は戦後の復興期。「もはや戦後ではない」という言葉が象徴するようなこの時代(庶民にそんな感覚はなかったようですが)の、豊かではないけれど沸々と湧き上がるようなエネルギーを、見事にフィルムに定着させた一冊です。
石川拓也