しばらく姿を見せなかった少年が久々に図書館にやってきた。「あれ? ちょっと図書館の雰囲気、変わってない。なんか明るくなったね~」と嬉しい感想を口にした彼は、ずいぶんと背が伸び身体の厚みも増していて、もはや青年といったほうが似合う風貌になっていた。館内をぶらつきながら、以前なら素通りしていた書架の前で立ち止まり、時間をかけて本を選んでいった。
先ごろ、2年後の町立図書館リニューアルに向けてアンケートを実施した。ありがたいことに日ごろ図書館を利用している方だけでなく、あまり利用していない方も貴重な意見を寄せてくださった。そこに記された忌憚のない指摘の数々から、現在の図書館の抱える課題や新図書館の目指すべき方向性、今後取り組んでいかなければならない具体的事案が見えてきた。
新刊や話題の本への目配りや、幅広い分野の書籍を蔵書してほしい、学習スペースを増設してほしいといった、図書館の本来機能の充実を求める声は多かったが、それと同じくらい、読書に興味関心がさほどない人にも開かれた場所、住民が気軽に集い交流できるコミュニティ機能も果たしてほしいという要望があった。
また、講演会や映画上映会、コンサートの実施など、本の周辺にある文化芸術の発信拠点となることも期待されていた。旧態依然のこれまでの延長上にある図書館ではなく、日々進化し変化する、未来につながる図書館が求められていた。
住民の皆さんの期待を背負い、皆さんとともに作り上げていく図書館は、チャレンジを恐れず変化し続ける有機体でなくてはならない。そして誰にとっても居心地よく、なにかしら新しい発見のある図書館をつくることができたらと願っている。