「声に出して読みたい日本語」 齋藤孝 草思社
話題になった時に購入したものの、積読(つんどく)状態となって早や数年…。
押し入れから探り出しやっと読み始めました。
和のリズムはDNAレベルで記憶されているのでしょうか、古典も漢文も心地よく耳に響きます。
そしてあまりにも有名な名文をいかに知ったつもりでいたのか…、思い知らされました。
知れば知るほど、知らないを知る。そんな一冊でした。
西野内小代
著者名
記事タイトル
掲載開始日
山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。
人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。
土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?
みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!
(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)
旧森小学校への通学路、直線コースに入った辺りの中ほどに、「かじ」を蒸す場所がありました。
朝早くからおばさん達が集まり「かじ」を蒸すのです。
早朝の寒さの中、薪のはぜる音と笑い声、楽しげで、華やいだ雰囲気だったのを覚えています。
いわば、その時期の風物詩だったのですが、登校時の通学路が密度の濃い空気で満たされ、小学生の私はその独特の臭いに辟易していたように記憶しています。
大きな桶状の物体がカパッと開いた瞬間、サウナ状態の中「かじ」が束にされ、潔くまっすぐに並んでいたのを、何度か目撃しました。
あの桶の中には実は楽しい秘密が隠されていたそうです。
副産物として、そこで「さつま芋」を蒸かしていたらしいのです。
大人になってから知り得た事実です。
一仕事終わった後の「さつま芋」はきっと美味しかった事でしょうね。
お相伴にあずかりたかった。
遠いむかしの懐かしい記憶です。
「森小学校百十周年記念誌」 編集委員:西野内三春・野村保太郎・志和保三郎・藤田国男・川田勝
卒業生名簿の大正15年度の欄に編集委員の一人である私の義父の名前があります。そして「思い出」の一ページにこの義父の文章があります。
タイトルは「橋床とゲンコツの思い出」です。
私事ですが、この「とさちょうものがたり」の「ほのぼのと」欄に投稿させて頂いた「はしとこ」というタイトルの文章は、この義父の作品への嫁なりのアンサー的な意味合いを兼ねて書かせて頂きました。
昭和4年度には現在100歳の義母の名前、昭和39年度には夫の名前そして昭和41年度には私の名前がそれぞれ記載され、私と嫁ぎ先を繋ぐ記念誌でもあります。
西野内小代
高知市内の高校に通っていたある夏休み、同じクラスの仲良し3人を土佐町の実家に招待する事となりました。
川に泳ぎに行く事となり、石橋エリアまで徒歩移動、道路から川へは両側から灌木の枝がしなう細い道を下ります。
その時、前を歩いていた女子の一人が悲鳴をあげたのです。
「キャー!ヘビがとんだ!!」
私も目撃しました。真っ黒いヘビがジャンプして左から右の岸へと移動(横断)したのです。
そして二学期が始まり、登校すると、クラスの男子達が大騒ぎです。
「土佐町はヘビがとぶんやとねぇ!」
かくして、私の実家は ”ヘビがとぶ” 奇妙・奇天烈な地域にあると、すっかり有名になった次第です。
街の人はそんなにヘビが珍しいのかと、私は「フーン・・・」と右から左へと聞き流しておりました。
先日の高知新聞にこの話とソックリな話題が取り上げられておりました。
そのコラムの挿絵を観て、50年近く経った今、当時の男子達の驚きの謎が解けました。
ヘビに立派な羽が生えて、大空を悠然と飛んでいたのです。
『跳ぶ』ではなく『飛ぶ』と早合点していたんですね。
そんなメルヘンなヘビ君なら私も一目観てみたい♪
背丈の小さかった幼き頃、祖母の着物を引っ張り出しては羽織り、「私はお姫様」。
おとぎ話の世界に浸り、空想の翼を広げていたものでした。
その祖母の年齢に近くなり、Uターンしてきた現在の土佐町へと話はワープ。
ある日、帰宅すると玄関脇のベンチに大量のシイタケが置かれていました。
「よし、干しシイタケに挑戦!」
秩序正しく並べ、日向に出して大満足です。
すると、今度は後方よりエンジン音。
ご近所の方が、仕事先からわざわざ初物の筍を届けに来てくれました。
さっそく、知恵の収蔵庫「スマホ」とにらめっこ。
どうにか下ごしらえを完了し、わくわく気分で散歩していると、通りかかった車から、隣のH君がニコッ!
「これ食べる?」
釣果の川魚を「現代版びく」ごと、窓から差し出してくれました。
川魚の入った箱を両手に唖然としている私を残し、あっという間にカーブを曲がり、視界から消え去ってしまいました。
「サンタクロースさんの出現か?」
そして、初夏となり野菜、お花、貝や鮎等々を玄関先まで届けて頂ける日々が続いています。
土佐町には、おとぎの国の住人がたっくさんお住まいで、日々、心の糧を頂いております。