とさちょうものがたり

土佐町ストーリーズ

土佐柴刈り唄 前編(高須)

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むかしむかし、まだ化学肥料のないじぶん(頃)には、五、六月になるとサッーと萌え出た、やりい(やわらかい)柴を刈って肥料として田んぼに入れよりました。

牛を使ってこなし、水を張った田んぼに柴を刈って来て入れ、鉈でこいつを二十センチメートルぐらいに叩き切りよりました。

田んぼの中でやったんで、下が泥ですろう。ボッシャン、ボッシャン頭から泥だらけになって叩き切るわけですらあ。

六月じぶんじゃったら、田んぼに柴を置いただけじゃなかなか腐らんですがねえ。
そんでオアシ言うて大きな障子の枠みたいに組んだ下駄をこしらえて、叩き切って拡げた柴をザンブリザンブリ踏んで行くわけですらあ。

柴刈りは男も女も家族総出でやりよりました。それから季節労働者を雇うたりもしよりました。
大栃の菲生(にろう:現在の香北町)あたりからもだいぶ来よったがねえ。

柴を刈るのも、田んぼで叩き切るのもどっちも重労働じゃった。刈った柴は、三束ずつくくって、六束をサス(突き刺し棒)で担うて来ましたのう。

一日刈る量は普通「一日六荷(一荷は六束)」と言いよったが、一反(約十アール)には二十荷ばあ入れよったろう。
よけい入れる場合もあって田んぼの水が見えんば入れることもありましたねえ。

こうした重労働の中で、「柴刈り唄」は、山のこっちでも向こうでもお互い励まし合うという格好で唄うたもんですのう。

「土佐町の民話」より 池添好幸

 

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くだらな土佐弁辞典

かまん

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 かまん

【承認・許可】

〜してもいいか?

〜してもいい

▼例文

「後でかまん?」

「かまん、かまん」

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みんなのアルバム

校庭にて

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相川小学校にあった古いアルバムから1枚。

校庭でしょうか、みなさんの背後に二宮金次郎像が見えます。

先生方かな?と思いますが、どうでしょう。

年代や日付、どなたなのかはまったくわかりません!

心当たりのある方がいらっしゃったら、ぜひご一報くださいね。

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とさちょうものづくり

こうほう とさちょう

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またまた時間の経ったご報告になってしまいましたが、土佐町の広報「こうほう とさちょう」2018年12月号の表紙と裏表紙です。

「土佐町ポストカードプロジェクト」で撮影した2枚の写真、表紙は安吉にある三宝山高峯神社で12月の初頭に開催される神祭の際に、宮司の宮元千郷さんの後ろ姿を撮影させていただきました。

裏表紙はさめうらダム湖。ダム湖ならではの静謐な湖面を撮影しました。

もうすぐみなさまのお手元に届く頃です、という記事にするべきところ、みなさまのお手元にとっくに届いています、というタイミングになってしまいました。すみません!

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土佐町ストーリーズ

掛穂の由来(石原)

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いつの頃からかはっきりわからんが、芥川主水と言う人がおったそうな。
猪や猿が多く、作物にわるさをするんで、山の中に小屋を作って毎晩追い払ったそうな。

ある朝のこと、小屋の棟から大きな足が下がってきたと。主水がこれを弓矢で射ろうとしたところ、

わしは三宝山に仕える者じゃが、この山の大神は、作物の豊作を願う神であるので
もうここに来る事はない

と告げ、鐘、太鼓を響かせて去って行った。
主水は伏し拝んですぐに家に帰り、再び小屋を作ることはなかったと言うことじゃ。

さて、その秋は、猪や猿の害も少なく豊作じゃった。
それでその初穂を山頂の大桧に掛けてたてまつったそうな。
それから毎年大みそかの夜に掛穂をするようになったと言うことじゃ。

またその後にこんな話もある。

ある年の秋、安芸郡の小作百姓の藤右衛門が、稲刈りを始めたところ、いつもの年の半分にも足らん実入りじゃった。
刈り入れはそのままにしちょいて、早速、加地子米(田んぼのかわりに地主に払う米)を減らしてくれるように
地主にたのみに行ったんじゃが、地主はうんと言わざった。

困った藤右衛門は初穂と新しい鎌を持って、三宝山に参詣し、刈り残した稲がどうか実って下さいとお祈りした。すると社殿から老人が現れ、

わしは山の神じゃが願いごとは確かに聞いた

と言うて、鎌を片手に大空へ消えていった。

それから、はるばる帰り着いた藤右衛門はその足で早速様子を見に行ってみると、
なんと稲穂は深く垂れて満作になっちょったと言うことじゃ。

それを伝え聞いて安芸郡から参詣する人も多くなったそうじゃ。

町史

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みんなのアルバム

小学校の卒業記念

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相川小学校の古いアルバムより。

“昭和15年度卒業生”とあります。

 

ぱっと見て、まず子どもたちの髪型や服装に目がいき、

「わあ、サザエさんに出てくるワカメちゃんみたいなおかっぱ!」

「男の子たちの学生帽の下は、やっぱり坊主頭なんだろうな」

そして、中央に座っている先生を見て、

「あら、イケメン!」

なんて、軽々しく思ったりしますが。

 

その年の終わりには、太平洋戦争が始まります。

当時の土佐町で、戦前に漂う空気はどのようなものだったのでしょう。

その後子どもたちがどんな体験をして大人になっていったのか、思わずにはいられません。

 

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くだらな土佐弁辞典

きそきそ

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きそきそ

【形容詞】落ち着かない、そわそわした様

(例)そんなにきそきそしなや〜  (訳)そんなにそわそわしないの〜

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2019年1月25日。下田さん滞在最終日。

ガタガタ道に揺られながら目指したのは、標高1013mに位置する陣ヶ森。
深い藍色の山並み、遠く大豊町まで見渡せるこの場所からの風景を下田さんにぜひ見てほしいと思っていました。

下田さんは、しばらくの間、ひとり静かに佇んでいました。

 

 

「すごいね…」とつぶやいた下田さん。

この場所に立って、絵本の始まりのイメージも浮かんだようです。

 

ふきのとうも見つけました。

 

 

 

山をおり、牛のセリを見に行きました。乳牛や年取ったあか牛、子牛が順番に係りの人に引かれてきて、値段がつけられていきます。

お昼ごはんは、土佐町の美味しいうどん屋さん「繁じ」へ。
女将さんが「サインください!」と色紙を持ってきてくれました。

下田さんは外に出て、入り口横にある「繁じ」の布の看板も色紙に描き込みました。

果たしてどんな色紙が出来上がったのかは、ぜひお店で!

 

5日間の滞在中にお話を聞かせてもらった方、出会った方…、みなさんお忙しい中、本当にありがとうございました。

土佐町の絵本づくり、どんなかたちになっていくでしょうか。
私たちにもまだはっきりとしたものは見えないのですが、手探りでひとつひとつ、これからかたちにしていくことがとても楽しみです。

 

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本日、2019年1月24日も晴天なり。
絵描きの下田昌克さん、土佐町滞在4日目です。

今日は土佐町芥川にある高峯神社へ。
高峯神社は約800年前からこの場所に建ち、明治時代に建て替えをし、今に至っています。

高峯神社の守り人、筒井賀恒さんが案内をしてくれました。賀恒さんは70年間、地域の人たちと共に高峯神社を守り続けています。

賀恒さんには今まで2度、高峯神社を案内してもらったことがあります。賀恒さんは土佐町史を読み込んでいて、この地に伝わる伝説や史実をいくつも話してくれました。今まで知らなかったことを知ると、今まで何度も通ったことがある道や目の前に広がる風景が、昨日とは違ったものに見えるのでした。

一緒に来てくれた89歳の川村武利さんも高峯神社にまつわるお話をしてくれました。
お二人とも80代の人生の大先輩。軽やかな足取りで、岩や太い木の根っこでできた参道をのぼっていきます。(ゼイゼイしていたのは、下田さんと編集部…)

 

この場所にはいつも気持ちのいい風が吹いています。

昔の人もきっと同じ風を感じていたことでしょう。

 

川村武利さん(前)、筒井賀恒さんと

 

 

「とさちょうものがたり」がシルクスクリーンでタッグを組んでいるどんぐりへ。
下田さんが描いてくれた絵を、これまでポロシャツ、Tシャツ、トートバックへどんぐりのみなさんがプリントしてきました。下田さんは、どんぐりのみなさんのプリント技術のクオリティーがどんどん高くなっていっていることを「すごい!楽しみだね!」と喜んでくれています。

どんぐりのみなさんからパンをいただきました。ありがとうございます!

 

一昨年、下田さんの展覧会を開いた青木幹勇記念館へ向かいました。
記念館の田岡三代さんが美味しいコーヒーいれて迎えてくれました。

田岡三代さん(左)

 

夕方、シルクスクリーンの作業場で下田さんが絵を描いていると、隣の家に住む山中さん、娘さんの結花さん、結花さんのお子さんが3人で作業場を訪ねてきてくれました。
「下田さんにサインしてほしくて…」と結花さんは下田さんの著書「PRIVATE WORLD」を小脇に抱えていました。
里帰り出産のためにただいま土佐町に帰省中の結花さん。この本は結花さんが学生時代に購入したもので、土佐町の実家に置いておいたのだそうです。

下田さんのこの本は17年前に出版されたもので、この本が下田さんのデビュー作。

17年後、高知県の土佐町という町で、自分の本を手にした人が会いにやって来ることを下田さんは想像できなかったでしょう。
でも、きっとこうなるようになっていたのだと思えます。

 

下田さんがその本に結花さんと結花さんのお子さんの絵を描きました!

 

絵を描く姿を見つめながら山中さんが「涙が出そう…」とつぶやきました。その気持ち、何だかわかるような気がします。

 

一冊の本がこの世の中に生まれるということは、きっと未来をつくるようなこと。まだ見ぬ誰かとこれから出会うきっかけや、誰かに喜びを届けるものにもなるのです。

 

 

明日はいよいよ最終日!
どんな1日になるでしょうか。楽しみです!

 

 

 

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2019年1月23日。絵描きの下田昌克さん、土佐町滞在3日目。

春のようにぽかぽかと暖かいこの日、早明浦ダムのほとり、上津川地区に住む高橋通世さんに会いに行きました。
家に着くと通世さんは、仕事で使う刃物を研いでいるところでした。料理用、猟用、動物をさばく用…。10種類は並んでいたでしょうか。

そして山仕事に使うワイヤーやペンチ、石臼や鉄釜など、山の暮らしに必要な道具があるべきところに置いてあります。

通世さんは猟師であり、山の達人。
山のイノシシや鹿の通り道に罠を仕掛けて捕らえ、さばいて肉にします。
鳥や植物にもとても詳しく、竹に穴を開けてヤマガラの家を作り、ひながかえったときには本当に嬉しそうに教えてくれました。
お米、野菜、漬物、こんにゃくを作り、お茶やはちみつの収穫、そしてたぬき油も…。

猟のこと、山のこと、いのちのこと…。通世さんの話は尽きません。

やりたいことはやってみる。実際の行動にうつす。時には失敗もしながら、繰り返し繰り返し行動することで、通世さんは山で生きる知恵を身につけて来たのだと感じます。

通世さんが、昨日から準備していてくれたしし汁をいただきました!もちろん通世さんが捕らえたイノシシの肉です。臭みがなく、とても美味しかったです!

高橋通世さんと

 

 

「土佐町にフクロウはいるの?一度本物を見てみたい」と言っていた下田さん。

土佐町にフクロウはいます!
今まで何度か森の中から聞こえてくる声を聞いたことがあります。

どこかでフクロウと会えたらいいなと思っていたら、なんと通世さんの家で出会えました!なんという偶然!
きっとそうなるようになっていたのでしょう。

さて、そのフクロウで、下田さんは何をしたでしょうか?

その答えは春に!

 

 

そして、今日の宿泊先である瀬戸コミュニティーセンターへ。
この場所に一昨年の秋にも宿泊させてもらいました。

懐かしい黒丸地区の人たち、お母さんに再会。下田さんもとても嬉しそうでした。
通世さんからいただいたしし肉のすき焼き、お母さんが作ってくれたサラダやイタドリ炒め、亮一郎さんが作ってくれた香茸のお吸い物、そして色々な珍味…。

土佐町の美味しいものをたくさんいただきました。
ありがとうございます!

あか牛のすき焼きも!

 

明日は4日目。一体どんなことが待っているのでしょうか?
楽しみです!

 

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