笹のいえに泊まりながら、日中は自然の中で遊び、食事作りから掃除洗濯など、ここでの暮らしを体験するイベント「笹の夏休み」が今年も無事終了した。台風の影響で帰りの飛行機便を変更したりなど多少のハプニングもあったが、大きな怪我や病気もなく、参加者全員をご家族の元へ送り出せてホッとしてる。
かまどで料理して、五右衛門風呂を沸かし、コンポストトイレを使う。笹の「むかし暮らし」は子どもたちにとって、いろんな刺激があったようだ。心配していた天候にも概ね恵まれ、よく遊び、よく食べた毎日だった。
四年目の開催となるこのイベントで、これまでは関東からのリピータが半数以上だったのだが、今年は四国や関西圏からの参加が増えた。初めて高知県内から参加があったことも、地元への広がりが感じられて嬉しい。
兄弟や友達同士で来た子もいたが、ほとんどの参加者は、ここで初めて顔を合わせた。
イベント初日、笹に到着した彼らは一様に緊張気味で、「山奥の古い家に連れて来られて、しかも知らない人たちだらけで、どうなっちゃうんだろう」と顔に書いてある。
それでも、自己紹介やスケジュール、班などを決めていく中で、場と仲間たちにすぐ慣れていった。日を追うごとに(本人たちは無意識なのだろうが)、それぞれのキャラクターを理解し、自分を出していく。頭で考えるよりも先に他者を受け入れ、グループを形作っていく。隣で彼らを観ていて、その柔軟性とスピードには毎回驚かされる。
参加者とスタッフ、そしてうちの子たち、総勢15名。ひとつ屋根の下、寝食を共にしていると面白いことが見えてくる。
虫が嫌いな子がいれば、暇さえあれば虫網片手に生き物を探してる子がいる。
かまどで火起こしするのが得意な子がいれば、煙が苦手な子がいる。
調理が楽しくてしょうがない子がいれば、恐る恐る包丁を扱う子がいる。
滞在中、自分と反りが合う子、合わない子がいただろう。
数年前まで、参加者には同じように体験させなければいけないと考えていた。苦手なことも頑張らせて、「皆がやっているのだから、一緒にやろうよ」と伝えていた。が、最近はそうでなくともいいと思うようになった。得意なことやりたいことはそれぞれ違う。スタッフは子どもたちとコミュニケーションを取り、その子からのメッセージを受け取る。必ずしも全員同じことをしなくてもいい。作業が終わって手が空いたのなら、他の子を手伝ってもいいし、遊んでもいい。ひとり息抜きが必要なときもあるだろう。皆違う、それでいいと思う。スケジュールや時間的に多少の促しが必要なときは、スタッフは最小限のフォローでサポートするように心掛けている。
今年は二回開催し、合計14名の子どもたちとの出会いがあった。
参加してくれた子どもたちにはもちろん、可愛い我が子に旅をさせてくれた親御さんにも感謝したい。
写真提供:川原将太
去年のイベントの様子は、こちらからどうぞ。
笹の夏休み(前編)
笹の夏休み(後編)