笹のいえ

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茅刈り

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先日、ススキ刈りに出掛けた。

ススキが屋根を葺く資材になったり、積んで醗酵させると良い肥料になると言うことは以前から知っていたけれど、わざわざ集めて利用するところまで考えることはなかった。しかし以前左官屋のケンちゃんと稲藁で葺いた小さな屋根が予想よりも早く傷んでしまったため、今度はより耐久性のあるススキを使おうとなった。夏の間ぐんぐん背を伸ばし、冬に立ち枯れするこの植物を刈り取るのにちょうど良い季節だ。

その昔、ススキをまとめて生やしておく「茅場(かやば)」という場所が、どの地域にもあったらしいが、近年見かけることは少なくなった。今ではススキなどイネ科の茅は、田畑の法面や道の横などにあちらこちらに生えているが、刈払機で刈られ、利用されることはほとんどない。放っておくと背が高くなって処理しにくく、どちらかと言うと邪魔者なイメージだ。

刈って持って帰っても文句言う人はいないだろうが、人様の土地に勝手に入るわけにもいかないので、あらかじめ地主の方に確認して了解を得た場所に行った。

柄の長い鎌を手に田んぼの斜面を一歩ずつ足元を確かめながら、ススキが密集している場所を目指す。根元から刈ると、ざくざくという音が気持ちいい。鎌の届く範囲を刈りながら腕の中でまとめ、また次の場所に移動する。

ちょうど遊びに来ていた友人の手も借りて、一日ススキを刈っては束にしていった。

集めたススキを縛り直して、長さを揃えるために株元を地面へ叩く度、穂についた綿毛がふわりと舞う。午後三時、空には雲ひとつなく暖かい春のような陽気だったが、僕たちとススキの長く伸びた影が、冬を感じさせていた。

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笹のいえ

息子と旅に出る

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前シーズンの搾りでは長女を連れて行ったので、今回は長男に声を掛けた。一度誘ったときは、その期間中に友達の誕生日会があるので「行かない」宣言したが、なんとその友達が彼のために日程を変更してくれたので、めでたく同行することになった(ナナちゃん、ありがとう!)。

子どもを連れて行くのは、普段の生活とは違う経験をしてほしいからだ。自分たちとは異なる暮らしをする人たちと出会い、交流し、遊び、食べ、寝る。それらのイベントを通して、「この世には、いろんな人が生きている」ということを彼らの世界観に加えてもらえたらと思っている。今回は土日を含めて五日間の旅だったので、学校は三日休んだ。

片道10時間、狭い軽トラの車中でどう時間を過ごすかと少し心配していたが、彼が持ち込んだナゾナゾ本の問題を解いたり、サービスエリアのお土産コーナーを回ったりした。トキさん宅では、11歳の末っ子娘さんとよく遊んでいた。ボール遊びをしたり、駆け回ったり、料理したり。ときおりお兄さんたちにも相手してもらったりして、終始嬉しそうにしていた。

後から聞いたのだが、あるとき息子が、ホームスクーリングしている末っ子さんに、「学校行かなくて、(勉強が)溜まらないの?」と尋ねた。聞かれた彼女の方はキョトンとしていたらしい。きっとお互いの頭の中はハテナでいっぱいだっただろう。息子が新しい価値観に触れた貴重な会話だったに違いない。

当初、別の場所で行われる搾りにも一緒に付いていく予定だったが、ここでの時間がよっぽど楽しかったのか、彼はトキさんの家に残ると決めた。夜はひとりで寝たらしい。家では家族で寝ているので、そんなこともできるのかと嬉しい驚きだった。

自分の家では他の兄弟がいるので、二人きりでじっくり時間を過ごすことはなかなかないが、旅の間、二人で風呂に入ったり、道中普段食べないものを食べてみたり、彼が考えていること、僕が思っていることなど話をした。往復20時間の移動時間は、あっという間だった。

 

写真:滞在先の敷地内で醤油を搾った。大きな羽釜でお湯を沸かし、醪(もろみ)を溶かしたり、洗い物に使う。また、搾った醤油の不純物を取り除くために火入れをするのもかまどで行う。ここは山間なのに空が広く、この時期少し冷たいが、気持ちの良い風が吹く。

 

この旅の目的はこちら↓

醤油搾り

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笹のいえ

帰省旅

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記事の順番の都合でご挨拶が遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
年が明けても相変わらずの拙い文章と写真ではありますが、今年もぽつぽつ更新していきたいと思いますので、お付き合い頂ければ幸いです。

昨年末も家族で帰省した。
この機会でないと会えない人たちがいるので、事前にある程度行動スケジュールを決めておく。あちらこちらに顔を出そうとすると、慌ただしい日程となる。話し逃し、聞き逃しがないように、最近は「この人に会ったらこの話をしよう」「あの人にこれを聞きたい」とスマホにメモを残している。メールやメッセージ経由より、直接顔を見て話をした方が良い話題があるからだ。

奥さんと僕の実家には必ず行くようにしてる。

奥さんの実家は千葉県いすみ市にあり、ブラウンズフィールドという、知る人ぞ知るオーガニックスペースだ。敷地内に古民家と田畑とカフェと宿泊施設があり、週末ごとにイベントが開催されるようなオープンな場所だ。周辺はいわゆる里山で、人の手入れが行き届いた自然が心地よい環境だ。さらに、東京へも近いので、都会と田舎の良いところがバランス良く取り入れられている。
立ち上げから15年以上を経て、「ブラウンズフィールド流」とも言えるライフスタイルに共感する人たちが増え、さらなるコミュニティをつくりだし、地域の魅力のひとつとなっている。訪れたことがきっかけで、移住してくる人もいると聞く。ここ過ごした数年間の経験が、いまの僕らの暮らしのベースとなっている。

僕の実家は都内で(といっても、すぐ隣は埼玉県という立地だけど)しがない飲食業を営んでいて、帰省のタイミングで店舗の大掃除の一部を手伝っている。親にとって息子は何歳になっても息子らしい、掃除が終わると、おこずかいをもらえる。この歳で気恥ずかしくもあるのだが、お年玉だと思って有り難く頂戴している。両親は近所の公園に子どもたちを連れて行くのが楽しみだが、彼らの体力についていけるワケもなく、はしゃいで帰ってくる孫と後ろからとぼとぼ歩いているじいじとばあばの姿が対照的で、そんな光景もあと何回見られるのかと胸がザワザワしたりする。

移動が多く慌ただしい帰省旅だが、子どもたちはいつもと違う環境を楽しんでいる様子。
彼らに「君たちの家はどこだろう?」と尋ねると、笹のいえとブラウンズフィールドとメンメンのお店(僕の実家はラーメン屋なのです)と、と指を折る。ばあばとじいじが住んでいる家は、自分たちの家でもあるという認識は面白い。これも僕らを毎回温かく迎えてくれる人たちのお陰だ。

帰省中、笹のいえを留守にするので、地域の年末夜警への参加や新年の挨拶などできないことも多い。旅に掛かる時間やコストも気になるところだが、子どもたちが年に一度のこの家族旅に付いてきてくれるうちは、なんとかやりくりしようと思う。

毎年留守番をお願いしている、T一家にも大感謝!

 

写真:元旦に初詣をする神社に続く石段。去年まで抱っこだった次男が、今年は自力で階段を登り切った。

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笹のいえ

醤油搾り

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季節は冬本番。今シーズンも長野県に住む搾り師・トキさん宅にお邪魔して、自分の醤油を搾りに行ってきた。

軽トラの荷台に醪や樽などの道具、お土産などを積み込んで、信州方面に向け出発。前回から約10ヶ月ぶり、今回はどんな醤油が搾れるだろう、向こうの天気はどうかな、搾り作業の流れを覚えているかな、などと道中考えながら運転、休み休みしながら10時間ほど掛けて到着した。

トキさんとその家族は、相変わらず元気に暮らしていた。手づくりのかまどが新調されていたり、五右衛門風呂小屋が完成していたりと、変化もあった。農を暮らしの中心とした彼らの暮らしは学びが多く、毎回行くのを楽しみにしている。お互いの近況を報告しつつ、翌日の搾りの打ち合わせをする。

出来上がった醪は、年ごと、場所ごとに様子が異なる。その状態を読み取り、美味しさを可能な限り引き出し、保存性も高く保つには、熟練した技術と知識や想像力が欠かせない。醪に加える水の量を加減し、何度も味見をしてから搾りはじめる。櫂(ふね)と呼ばれる搾り器から出てきた醤油に濃度を測るボーメ計を浮かべて数値を確認、稀ではあるが、必要な場合は塩を足す。僕ひとりの判断では難しい場面もあったが、要所要所で彼に的確なアドバイスしてもらって、搾りを進めた。

ひと樽搾るのに半日以上掛かり、その間はずっと集中。作業が終了すると、緊張が切れるのか、ドッと疲れる。多いときは日に三回搾るというから、搾り師はいやはや大変な職業だと実感する。

どんな醤油になるかと心配したが、トキさんから「うん、美味しくできたね」と言ってもらってホッとした。

数日間の滞在の間に、他グループの搾りを見せていただいたり、子育てや暮らしのことなど話ししたりして、良い時間を過ごすことができた。一緒に連れてきた長男も、一家に温かく迎えられて、いろんな経験をしたようだった。冬は搾りのシーズンで忙しい時期なのに、毎年日程を空けてくれる井上さんとその家族に感謝。

最終日、今度は搾りたての醤油とその搾りかすを載せて、高知方面に向かってコトコトと車を走らせた。

 

写真:お湯で溶いた醪を袋に入れ、圧を掛けると、搾り器の口から醤油が出てくる。火入れする前の生醤油だ。周りに醤油の良い匂いが漂う。

 

醤油と暮らし

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最近の、母ちゃんのとなり

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母ちゃんのとなり」では、今晩誰が母ちゃんの隣で寝るのかと言う兄弟間の争いを書いたが、最近ちょっとした出来事があったので、お知らせしたい。

両側には二人しか寝られないので、四人兄弟では当然溢れるヒトがいる。しかし、どうしても母ちゃんのとなりで寝たい。その想いが極まった結果、なんと「母ちゃんの上で寝る」と言う荒技が登場した。読んで字の如く、母親の上にピッタリと張り付くのだ。はじめて見たときはビックリした。

そんな不安定な場所で寝ようとする子どもも子どもだが、抵抗しない妻も妻である。

両人ともさぞかし寝にくいだろうに、と思っていたが、ふたりとも寝息を立てていて、これまたビックリする。しばらくすると、流石に疲れるのだろう、その子が上から降りるのだが、その際寝ている兄弟と母ちゃんの隙間にちゃっかりと潜り込むのだった。

そんな様子を観察している父ちゃんのとなりには、相変わらず誰もいない。しかし、記事のネタになったからヨシとしよう。

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笹のお風呂の入りかた

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前回記事にした五右衛門風呂について、興味がある方や泊りにいらした方に説明する機会があるので、この場でも「笹のいえ流」お風呂の入りかたをお伝えしようと思います。また、いつか笹のいえに泊まってみたいという方への参考になれば幸いです。

・お風呂が沸いたらすぐ入る。

ガスや電気のお風呂ならボタンひとつでオンオフできるけど、薪風呂は温度の調整が難しい。熱いからといって一度火が消えてしまうと再度焚きつけるのに時間がかかってしまう。入浴時間中は基本的に常に火がついていて、湯温は徐々に上がっていくので、少しぬるめから入るのがオススメです。入浴準備に時間が掛かり過ぎると、今度は熱すぎて入れないということも。

・服を脱ぐ前に、水温を確認する。

適温だろうと早合点して服を脱ぎ、お湯に手を入れてみたらまだ冷たかった(または熱すぎた)ため、寒い浴室に裸で何分も震える羽目になった経験が何度かある。お客さんに入ってもらう場合、僕たちが事前にお湯の温度を確かめますが、ちょうど良い湯加減には個人差があるので、必ず確認をお願いしています。

・蛇口からは水しか出ないので、湯船のお湯を上手に使う。

浴室にあるたらいに上がり湯を貯めたり、入る前にかけ湯したり身体を洗うと、浴槽のお湯を綺麗にキープできます。ちなみに、シャワーはないので、頭からお湯を浴びるときは手桶をどうぞ。

・蓋を沈める。

先日の記事でもお伝えしたが、これがないと足の裏を火傷してしまうので、忘れずに使う。沈めるには少しコツがいるけれど難しくはありません。特に小さなお子さんと一緒のときは、大人が先に入って蓋を沈めてあげると安心です。湯が子どもに熱すぎる場合は、たらいに温(ぬる)くしたお湯を用意して、身体を慣らしてから浴槽に入るのも良いかもしれません。

・熱いと感じたら遠慮なしに水で埋める。

釜の下では薪が燃えているので、湯温はゆっくりと上がっていく。「温くしちゃうと次の人に迷惑になるのでは」と、熱いのを我慢して入り、すぐ出てきてしまう心優しい方がいるけれど、心配ご無用。温度が下がっても、薪を足せば湯が沸きます。

・石鹸などは備え付けのものを使う。

上下水道のない笹のいえでは環境負荷を考えて、シャンプーリンスの類は使いません。備え付けの生分解する手作り石鹸や自家製柿酢シャンプーをご利用ください。また同じ理由で洗剤や歯磨き粉も使っていません。ご協力をお願いします。

・身体が温かいうちに布団に潜り込む

じっくり入れば、入浴後もしばらく身体がポカポカします。とは言え、時間とともに冷えてくるので、その前に服を着込むか、布団に入って、その温もりを楽しみましょう。寒い時期には湯たんぽや豆炭あんかをお渡ししますので、布団の足元に忍ばせておくと、朝まで温かいです。

 

なんだか面倒そうでしょうか?確かに一般的なお風呂と比べると、気を付けなくてはいけないことが多いかもしれません。それでも、五右衛門風呂の気持ち良さ、一日の疲れから解放される温かさには敵いません。

より快適にお風呂を利用できるよう、今後さらなる改修や使い方の変更があるかもしれません。初めてお使いの方にはその都度ご説明しています。

 

写真:改修したばかりのころ。いまでは使い込まれて、赴きを感じる雰囲気です(ボロくなった、とも言う)。

 

五右衛門風呂

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五右衛門風呂

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今更感がありますが、うちのお風呂は五右衛門風呂。

引っ越しにあたり、住む家の理想条件のひとつが薪風呂だったから、願ったりだった。ただ、もともとあった風呂釜はヒビが入っていたし、その他にも直したい箇所があったので、五右衛門風呂作成経験者の知人たちと改修することになった。

実際解体してみると、古い釜を取り出すだけでも重労働であることが分かった。周りのタイルやセメントをトンカチやドリルで打ち砕き、外に運び出して、釜の下にある釜戸も取り除いて作り直した。

釜戸はサイコロ状にした粘土で成形していく。粘土は柔らかいときは変形しやすく扱いやすい。そして乾燥すると硬くなり熱に強く、高温になる焚き口には適している。奥行きを80cmほど取り、長い薪も入るようにした。予め購入しておいた鋳物製小判型五右衛門風呂を二人掛かりで運び入れ、排水しやすいように少しだけ傾けて据え付ける。それからその辺に転がっていた大きめの石をセメントで固定していった。

煙道は作らなかったので熱効率は悪いが、浴槽の側面が熱くならず、子どもにも安心だ。

釜の下から熱するため、入浴時に直接底を触ってしまうと火傷する。蓋を沈めて、その上に座るようにして湯に浸かる。ただうちのは木製なので、ある程度の体重がないと蓋が浮かんでしまう。改修当初の五年前、親と一緒でないと入れないほど小さかったうちの子どもたち。今では体重も人数も増えて、自分たちだけで入れるようになった。こんなところでも成長を感じてしまう。

五右衛門風呂最大のおすすめポイントは、遠赤外線効果だ。

薪で沸かした湯は、身体の芯から温まる。時間を掛けてじっくり入れば、湯上がり後もしばらくぽかぽか、じんわり汗をかいてしまうほどだ。だから夏はお湯を浴びる程度にしてる。薪がもったいないので、近くの川で水浴びして、お風呂がわりにすることも多い。

笹に引っ越す前に住んでいたアパートはガス風呂だった。真冬は、いくら長風呂をしても湯冷めをしてしまって困った(体質によるのかも知れない)。寒い日が続くと、車を何十分も走らせて温泉に行くのが楽しみだった。けれど、五右衛門風呂にしてから温泉欲がピタッとなくなった。熾火から発生する遠赤外線が心も身体も温めてくれた。

冬の気配を感じる季節となり、お風呂に入るのが嬉しい季節だ。

翌朝の贅沢な楽しみが、朝風呂。夜、皆が入り終わってから薪を一本加えておく(この辺が贅沢)と、翌朝も温かい風呂に入れる。窓を全開にして、湯気の立ち昇る浴槽から、夜が白々と明けていく向かいの山々を眺めるのもオツなものである。子どもたちにも人気で、いつもは布団から出たがらないくせに、「お風呂あったかいよ」と声を掛けると、飛び起きて来る。釜戸の火はすでに消えているので、蓋なしで入れるのも、子どもたちにとって嬉しいらしい。蓋がない分いつもより深くなった浴槽で潜ったりして遊んでる。

残り湯は洗濯に使っている。冬の山水は、とびきり冷たいので、この湯温はありがたい。最後の最後までこの温かさを利用させてもらう。

 

写真:2014年撮影。脱衣所の床に柿渋を塗るお手伝い。弟に刷毛を取られて不満顔の姉。

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新米

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毎年お世話になっている地域の農家さんに乾燥と籾摺りをしてもらって、ついに新米が食べられるようになった。

11月上旬、よく晴れる日が続いたので、稲はすでに十分乾燥していた。しかし、天日干し米は場所によって、乾燥具合にムラが出るので、保存性を良くするために機械でも乾燥させることにしている。

今年は天候の影響で、全国的に豊作とは言い難いシーズンだったらしい。笹の田んぼも例年に比べるとだいぶ収量が少なかった(うちの場合、栽培方法などにも改善点があったのだけれど)。それでも、主食であるお米を自分で育て、収穫し食べられると言うのは単純に嬉しいことだ。

新米が入った真新しい米袋を、よいしょよいしょと縁側に運んだ。所狭しと積まれた袋を眺めて、これから一年間このお米を食べていくのか、と実感が湧いてくる。文字通り、僕ら家族の血となり肉となるのだ。

早速新米を味わいたいところではあるが、ありがたいことに去年のお米がまだ残っているので、もう少し先となりそうだ。

ちなみに、今シーズンの収量は、約十俵(約600キロ)。反当たりの収量だとおよそ四俵と言うところだ。一般的な米農家さんの七〜十俵と比べるとだいぶ少ない。より収量が上がるよう、さらなる精進が必要である。

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稲刈りの風景

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週末ごとにやってくる台風に振り回されながらも、晴れの続く日を狙って稲刈り作業をした。

一番大きな田んぼで稲を刈るときは友人たちに声を掛けて、手伝ってもらった。

午後の日も傾いて来たころ、それまで笹で遊んでいた友人家族と子どもたちが、おやつを持ってきてくれた。四家族15人。土佐町でお米を作りはじめて今年で六回目となるが、田んぼにこんなにも人が集まったのははじめてかもしれない。

早々に食べ終わった子どもたちは、稲が刈られて広々とした田んぼで、走り回っていた。

何人かに「お手伝いしてくれる?」と聞くと、嬉しそうに藁束を運んだり、落ち穂を拾ってくれた。そのうち、落ち穂拾い競争になって、一等賞は97本集めたナナちゃん!

おしゃべりしながら、笑いながら、一緒に働く。

昔の稲刈りの風景もこんなだったのかな? 稲を干し台に掛けながら想いを巡らす。

土を稲もよく乾いていたので、作業は順調に進み、一反ほどの広さを一日で終えることができた。これからの天候にもよるが、三週間ほど天日で干したあと脱穀をし、籾摺りをする。新米が食べられるまでもう少しだ。

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種を蒔いてわかること

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10月に入り朝晩涼しくなってきたころ、枝豆が旬を迎えた。

自分で大豆を育てるまで、「若い大豆が枝豆である」と言うことを知らなかった。それぞれ別の品種だと何となく思っていた。そして、枝豆は夏にできるのだろう、とずっと信じてた疑わなかった。だって、夏と言えば、ビールと枝豆ではないですか。

しかし実際に畑で大豆を育ててみると、枝豆が食べられるのは朝晩の涼しくなる秋のはじめのころ。ビールにはちょっと肌寒い季節だ(品種や栽培方法によって夏に採れるものもある)。

そう言えば、自分で種を蒔くようになって、いろんなことに気づいてきた。

 

オクラの花は、オクラの味がする

空豆のさやは、空を向いて出てくる

ニンジンの種は、毛がいっぱい生えててちょっと怖い

そして、枝豆が本当に美味しいのは、ほんのいっとき

 

さて、枝豆は子どもたちの大好物。茹でたてにさやの上から塩を振って食べるのが一番ウマい。食卓に登ると「いただきます」と同時に、一斉に手が伸びる。弟たちは一粒ひと粒口に入れ、姉は茶碗にせっせと取り出し山盛りにしてから食べる。末っ子はその豆をよこせと催促する。

枝豆ひとつで食卓が随分と賑わう。

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