「偶然の散歩」 森田真生 ミシマ社
数年前、土佐町で森田真生さんの講演会があるのだけれど行ってみない?と友人が誘ってくれました。その少し前に『数学の贈り物』を読んで、その端正な文体に魅了されていた私は即答で「もちろん!」。期待でわくわくしながら、当日を待ったことでした。
森田講演会に出かけたことがきっかけで、土佐町にご縁を得、今こうして仕事をしているのですから、人生何が起こるかわかりません。そんなこともあり、森田真生さんは私にとって大事な存在で、新作が出ると読まずにはいられない作家の一人です。
ごくありふれたこと(に見えるあれこれ)から、そのどれもがありふれたものはなく、様々な偶然の重なりの結果なのだと伝えてくれるエッセイの数々。その言葉に触れるたび、自分を取り巻くいつもの風景、いつもの会話が、貴重で美しいものに感じられました。