「いま、会いにゆきます」 市川拓司 小学館
妻が亡くなった。幼い息子と僕を残して…。
妻の最後の言葉は「雨の季節になったら戻ってくるから」と。そして「雨とともに訪れてあなたがしっかり暮らしているのを見届けたら、私は夏が来る前に帰ることにするわ」と。
僕の体内センサーは普通の人の数千倍の感度をもっており、とても暮らしにくい。記憶力も悪くていつもメモをとる。車の免許を取ることもバスに乗ることもできない。理解ある職場と素直な息子のおかげで、なんとか生活は続けられていた。
ある日、僕と息子はいつものように森に出かけた。雨が降り出し、そしてそこに妻がいた…。妻は亡くなったことを覚えておらず他のことも…。
息子と相談してそのことは無かったことにして生活をはじめる。妻は暮らしかたを丁寧に教えてくれた。今までの生活を忘れている妻に、出会った時からのことを話しながら、息子とともに一日一日を大切に過ごした。
夏が来る前のある日、妻はいってしまった。その後に届く手紙に知らなかった真実が…。
この本の帯に「きっと大切な人に会いにゆきたくなります」と書かれています。
私にも会いにゆきたい人がいます。
川村房子