「魔笛」 野沢尚 講談社
我が家の本棚にあった一冊。迫真のサスペンスと書かれているので、私が買って忘れたとは思えない。
渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ。犯人は新興宗教の信者であった照屋礼子。元は公安警察が送り込んだ警察庁警備局の警察官。それを追うのは刑事鳴尾良輔。夫殺しの取調べをした犯人の妻藤子と獄中結婚をしたという複雑な事情をかかえている。
一方、内密に事を収めたい公安も黙ってはいない。次の爆弾テロの予告。鳴尾が犯人への糸口をつかんだことで、手錠で繋がったまま爆死したいと望んでいるのじゃないか、複雑な思いを抱いているのじゃないかと心をいためる藤子。
礼子は、身代金をのせた車を東京中、走らせ警察の目を集中させておいて、全く違う場所に爆弾を仕掛けた。来るともこないともわからない、きっと来る鳴尾の到着を待っていた。情念とも怨念ともわからない。いろいろな思いや行動がからまりあいながら解決へ。
読みすすめるうちにオウム真理教がダブってみえてきたりする。