「はじめてのおつかい」 筒井頼子作, 林明子絵 福音館書店
絵本界のレジェンドのおひとり林明子さん。全国の少年少女たちで、この林明子さんの作品を一度も読んだことがないというひとは少ないんではなかろうか。幼子の目線、表情、行動に、こまやかな心の揺れ動きを正確に捉えてらっしゃる。まるで、林明子さんが執筆中は幼子に憑依して描きあげたのではなかろうかとおもうばかり。 だから子ども達に読むと、林明子さんの絵本の世界に完全に没入しているのを感じる。
はじめてのおつかい。誰もが一度は通るミッション。幼い子にとって大いなる冒険。
おんちゃんが運転する自転車が自分の横を通り過ぎるだけで【ビクッ】
サングラスをかけてるおんちゃんに後ろに立たれて【ビクッッ】
太ったおばちゃんのおしゃべりの勢いにもまた【ビクビク】
主人公のみいちゃんのドキドキに子どもたちも自分の姿を重ねながらページをめくる。やっと買えたおつかいの牛乳。
裏表紙の、冒険してひとつ成長したみいちゃんがお母さんのそばで安堵の表情で牛乳を飲み、表紙はその牛乳片手にとびきりの笑顔が眩しい。