「優しさごっこ」 今江祥智 新潮文庫
今まで何度この本を読んだでしょうか。この本に描かれている京都の町の様子はしっとりと鮮やかで、京都で暮らしてみたいと思ったくらいでした。「とうさん」と娘である「あかり」の暮らしぶりに惹かれ、この本をかばんに忍ばせて京都へ行きました。とうさんとあかりが通った京都の台所である錦市場へ行って、とうさんとあかりと同じようにだし巻き卵屋さんでだし巻き卵を買い、銭湯に入ってふたりのやりとりを思い浮かべたりしました。
この写真の葉は清水寺に落ちていた紅葉。もうかれこれ16年前(!)になるけれど、今でもあの日のことをまるで昨日のことのように思い出すことができます。
この写真の葉は清水寺に落ちていた紅葉。もうかれこれ16年前(!)になるけれど、今でもあの日のことをまるで昨日のことのように思い出すことができます。
「人と人との出会いちゅうもんは、何やこう、胸のうちがぽっぽと暖(ぬく)うなっていくみたいに、桜の花が次々に開いていくみたいに、とても気持ちのええもんや……」。
とうさんのこの言葉は私の心の中にずっとあって、いつも大切なことを思い出させてくれます。
鳥山百合子