さめうらダム湖。じ〜っと静かに見続けていると、湖面にもいろいろと表情があるのがわかります。小さなさざ波の湖面に、縦にすーっと潮流のような白い道ができています。魚が泳いだ跡でしょうか?風が通った道でしょうか?
「何時間でも空を見続けられるのが、写真家や画家という人種なんだ」尊敬する人にむかし言われた言葉を思い出しました。
著者名
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掲載開始日
図らずもTPP。あっちのTPPではありません。
土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。
2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。
各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。
「柴田元幸ベスト・エッセイ」 柴田元幸 ちくま文庫
柴田元幸さんは日本を代表する英米文学翻訳家。僕が柴田さんのことをあれこれ書くのが憚られるくらい、個人的に尊敬する人です。
驚くほどに多産な仕事ぶりで、ざっと翻訳した作家を挙げてみても、ポール・オースター、チャールズ・ブコウスキー、スティーヴ・エリクソン、スティーヴン・ミルハウザー、リチャード・パワーズ‥‥これ以上は書ききれませんが、もちろんここに挙げた名前はほんの一部です。
その柴田さんが、翻訳ではなくご自身のエッセイで本を出されました。80年代から、様々な媒体で発表されたエッセイを一冊にまとめた「柴田元幸ベスト・エッセイ」。これが面白くないわけはない。そこに柴田さんがいるかのような錯覚に陥りました。
ちょっとだけ自慢(←抑えきれない)をさせてもらうと、僕は柴田さんにはちょっとだけ仲良くしていただいていて、この一冊は「献本」として送っていただいたものでした。柴田先生、ありがとうございます。
石川拓也
2016年に高知県立美術館で開催された「マリメッコ展」で購入した一冊です。
フィンランドのブランド「マリメッコ」のデザイナー、マイヤ・イソラの物語。ウニッコと呼ばれるポピーの花のデザインを、きっとどこかで目にしたことがあるのでは。
『マリメッコは、伝統的な家庭環境と変化し続けるこの世界の新しい生活環境とを結ぶ架け橋』。
これはマリメッコ展の入り口に掲げられていた言葉です。持っていたチケットの裏にメモし、今も持っています。
架け橋、という言葉がとてもいいと思ったのです。
仕事への情熱を持ち自由と自立を求め続けたイソラ。花や木々、果物など自然をモチーフにしたデザインを多く残しています。
専門的なことはよくわかりませんが、ひとつひとつのデザインは、その時にイソラが見つめていた世界そのものなのかもしれないなと思います。デザインの奥にイソラの生き方が感じられるような気がして、時々この本を開きたくなります。
鳥山百合子
11月の最初の日曜日、土佐町の各地区では運動会が開かれます。
その時に盛大に行われる「もちまき」。
土佐町相川地区では、運動会前日に地域の人たちが集まっておもちを作ります。
前日から水に浸けておいた全部で90キロ(一俵半)のもち米を3回に分けて蒸します。このもち米はもちろん相川地区で収穫したもの。相川地区は土佐町の米どころ。美味しいお米が収穫できることで有名です。
大きな蒸し器にもち米を入れ、その真ん中を掘るようにしてくぼみを作っておきます。
「こうしとくと、火が通りやすいきね!富士山みたいな感じよ。」
蒸し器の口に布をかけ、ひもで結びます。
「あとでぷーっと膨らんでくるきね!それから30分よ!」
ぷーっと膨らんだ!
30分後、美味しそうに蒸しあがりました。
もち米をもちつき機に入れ、ガタゴトガタゴト、ガタゴトガタゴト…、もちつき機4台がフル稼働。3升のおもちがつける餅つき機は相川地区の人が自宅から持って来たもの。こんな大きなもちつき機がそれぞれの家にあることが驚きです。この地の人たちにとって自分でもち米を育て、おもちをつくことは「日常」なのでしょう。実はそれは、とてもゆたかなことなのだと思うのです。
おもちがつき上がりました。ぴかぴか、つやつやしながら、ホカホカと湯気をあげています。
もちつき機がまだ動いている時におもちを手ですくい上げるように取り上げ、もち取り粉をふった台の上におきます。
つきたてのおもちはまだ熱く「あちっ、あちっ!」と言いながら転がして粉をまぶし、2つに分けます。
相川地区の上田美和子さんの手さばきは、ほれぼれするほど美しかったです。
美和子さんが、おもちの端を内側へ内側へ小さく折りたたみ、たたんだ先をきゅと握ってできた丸いぷくんとしたおもち。それを「手刀(てがたな)」で切り、ころんと転がす。それを近くの人が受け取って、手のひらの中でなでるようにころころと、まあるいおもちにしていきます。
美和子さんが手刀で切ると、切れ目のないきれいなおもちになるのです。
それはまるで魔法のようでした。
いろんな世代の人たちがおもちを丸めます。きっと昔から大人たちは、子どもたちに働く姿を見せることで、地域との関わりかたやその季節の仕事を伝えて来たのでしょう。
こちらはお土産用のよもぎもちを作っています。このよもぎは春に新芽を摘み、重曹を加えて茹で、細かく切って冷凍しておいたもの。話に花を咲かせながら、手はいつも動いているお母さんたちです。
よもぎもちにあんこを包んでいるのは川田絹子さん。おもちにあんこを包み込み、きゅ、と握ってちぎる。おもちを置くときに上から手のひらで優しく抑えると、その時にはもう、まあるいおもちの形になっている!見事!
丸めたおもちを違う部屋へと運び、時々裏返しながら冷めるまで待ちます。
赤で「祝」と書かれた袋に一つ一つ入れ、口をテープでとめていきます。
そして次の日…。
できたおもちは次の日の「もちまき」で、次から次へと空を飛び、あっちへこっちへ転がります。(ちなみに、飛んで来たお餅がおでこに当たるとめっちゃ痛いです!)
子どもたちも大人たちも夢中になって拾い、持参した袋に入れていきます。
「拾えたかね?」と小さな子の袋をのぞいて、自分のおもちをいくつか入れてあげるおじいちゃんやおばあちゃんがいます。もちまきの時にはいつもどこかで見られるその光景は、なんだかあたたかい気持ちになります。
このおもちはこれからの季節、お鍋にうどんにお味噌汁に入れたりと大活躍。冷凍しておくと長い間楽しめます。
収穫したもち米を蒸し、おもちをつく。みんなと顔を合わせて、つきたてのおもちを頬張ったりしながら笑い合う。
今年の収穫に感謝し、お互いの一年間の農の仕事をねぎらうこのいとなみは、ずっと昔から楽しみのひとつでもあったのだと思います。
なぜ「笹のいえ」であるか、
というご質問をよくいただく。
答えは簡単。僕らが暮らしているこの家は、ずっと昔からそう呼ばれてきたから、です。
移住先を探しているとき、その土地でなにか商売をするなら、その家なり場所なりで使われてきた名称や屋号をそのまま受け継ぎたいとぼんやり考えていた。
土佐町に引っ越してきて、地域の方に、あの集落のあの家に暮らしていますと説明すると「ああ、笹に住みゆうかよ」と言われる。そして、「子どものころ、あっこ(あそこ)でよう遊んでねえ」と昔話に花が咲くこともある。笹のいえの大家さんである伊藤万亀江さんは「笹のおばちゃん」と呼ばれている。
名の由来を調べてみると、母屋がある住所の字(あざ)が「笹」ということが分かった。周りに笹(竹)がたくさん生えているので、そう名付けられたのかもしれない。それがそのままこの家の屋号になったのだ。
地域に親しまれている名前があるのなら、それを屋号に使いたい。宿を立ち上げるとき万亀江さんにそう伝えたら、「そら、えいねえ」と言ってくれた。
下田昌克さんが描いてくれた「土佐町の夏」の絵が、大きなトートバックになりました!
どんぐりの皆さんががシルクスクリーンで印刷した土佐町オリジナルのトートバッグです。
以前作ったものは縦に長いタイプのものでしたが、今回はマチ付き・横に長いバッグです。
色も変え、今回は思い切って赤(朱色)にしてみました。
版の枠にマスキングテープを貼り、マジックで線を入れています。バックのマチの部分とこの線を合わせ、版を置きます。そうすることで、いつも一定の場所に印刷ができるのです。
「ちょうどいいインクの量が生地の種類によって違うね。」とどんぐりのみなさんが言っていました。
このバッグのように厚い帆布に印刷するとき、力の入れ具合やインクをのせる回数や量が、Tシャツに印刷する時とまた変わります。そのTシャツにも綿やポリエステルなど生地の種類が色々あるので、それによってもまた変化します。
うーん、奥が深い!
毎回新しい発見があります。だからおもしろい!
そして、できたのはこちら!!
赤(朱色)、とってもいいと思いませんか?
マチ付きの大きなバック、特に女性にはうれしいのではないでしょうか?マチ付きは荷物がたくさん入ります!
このバックは11月11日(日)のさめうらの郷湖畔マラソン大会、11月23日(金・祝)の土佐町産業文化祭にて販売します。
どうぞお楽しみに!
*トートバックが購入できるネットショップはこちら!
「まもりたい、この小さな命」 原田京子写真,高橋うらら文 集英社
生まれたばかりで捨てられた。引越しの時置き去りにされた。災害にあい取り残された。野良犬になって人に恐怖心を持つようになった。飼われていても虐待されたりひどい飼い方をされたり、決して幸せではなかった…。行き先を無くしてしまった犬や猫には色々な理由があります。
そんなペットたちを保護し、きちんと世話をし、傷ついた心に気長く寄り添い新しい飼い主を探す。そういう活動を動物保護団体アークは30年近く続けている。児童文学作家高橋うららさんとアークの動物たちを撮影することをライフワークにしてきた写真家原田京子さんが取材し、まとめた一冊。
物言えぬ一つ一つほ命(魂)のいとおしさが胸に迫ります。
藤田純子