7月10日、人生初めて選挙の開票立会人になった。
集合時間は19時半、場所は役場となりにある町民ホール。
中を覗くと、ホール中央にある机上には町内各投票所から集められた投票箱が整然と並べられていた。その周りに票数をカウントする機械、記録用のパソコンなどがあり、準備はすっかり整っている様子だった。イベントなどで利用するときの雰囲気とは違い、緊張感のある場の空気に、僕は少々尻込みしていた。出入口でウロウロしている僕に気づいた知り合いの役場職員に手招きされて、所定の場所に座り、説明を受けた。
職員や関係者が次々と集まり、開票開始時刻を待つ。
開票立会人とは、票が適切に扱われているかをチェックする人たちのことだ。票数は正確か、記入された内容が有効か無効かを確認する。今回、立会人は7名。まとめられた票の束が問題ないかどうか、見落としがないように複数人で確かめ、持参した印鑑を押す。その後、票は別の職員に渡り、記録集計されていく。
開票時刻である20時の合図とともに、投票箱から一斉に票が取り出され、即座にまとめられていく。担当者たちによって、投票用紙はスピーディかつ正確に、政党ごと、候補者名ごとに仕分けられる。さらに専用の機械で数えられて束にされ、途中幾度もチェックを受ける。
ほどなくして、僕のところにも投票用紙の束が回ってきた。この地点で枚数間違いや候補者名が混ざっている可能性すでにほぼゼロだが、正確性をより高めるため内容を確認をする。クリップで留められた用紙には、同じ候補者の名前が異なる筆跡で書かれている。パラパラめくってみると、文字がアニメのように動いて見えた。
開票が後半になると、文字の判別が難しいものや白紙票、得票率に応じて比例配分される按分票(あんぶんひょう)など、特別な判断が必要な投票用紙がある。票はカテゴリー分けされた理由ごとにまとめられ、僕たち立会人は、その票が無効か有効かを選択。その判断を参考にして最終的に選挙長が決断を下す。
一文字でも間違っている票は当然無効票になるのだろうと思っていた僕は、職員の様子を見て驚いた。これらの投票用紙たちを机の上に並べ、ある人はその文字をどうにか解読しようとしていたし、またある人は資料と見比べて投票者の意思を理解しようとしていた。投票用紙一枚一枚が尊重され、投じられたその票をどうにか有効にしようと全力で向かい合っていた。一票の重みとはこういうことなのか、その姿に胸を打たれた。
その後も開票作業はまだ続いていたが、立会人としての一通りの作業が終わると、退室することになった。時計を見ると21時過ぎ。開始から一時間そこそこしか経っていないが、そうとは思えないほど濃厚な体験だった。
写真:蒸し暑い日の午後に、散歩がてら、近くの川まで水浴びに行くことにした。この時期はアブや蚊などがまだ少ないので、河原にいても快適だ。日々の平和な暮らしを、次の世代にも繋げたいと思う。