「いちごばたけのちいさなおばあさん」 わたりむつこ作, 中谷千代子絵 福音館書店
土佐町のいちご屋さん「やまびこ農園」さんにいちごが並び始めると、いつも「いちごばたけのちいさなおばあさん」のことを思い出します。
いちご畑の土の中に住んでいるおばあさんの仕事は、いちごの実に赤い色をつけること。土の中のみどりの石を掘り出し粉にして、お日さまの光をたっぷり吸いこんだ水に注ぎ込むと赤い色が出来上がる。おばあさんはその赤い水をせっせと塗って、赤いいちごを作るのです。
これは母に何度も読んでもらったお話で、幼い頃、私はこういった世界をみじんも疑っていませんでした。いつからか、いちご畑におばあさんはいないと知りますが、そんなことはどうでもよく、いちごばたけのおばあさんはやっぱりいるのだと、春先のいちごを見るたび思います。
やまびこ農園さんのいちごは、びっくりする程甘くてジューシー。毎年ジャム用のいちごを分けてもらってジャムを作ったり、砂糖をまぶして冷凍し、牛乳と一緒にミキサーにかけていちごシェイクにするのが楽しみです。
いちごばたけのちいさなおばあさん、今年も美味しいいちごをいたただきます。ありがとう。