「おさるとぼうしうり」 エズフィール・スロボドキーナ作・絵 福音館書店
「ぼうし、ぼうし、ひとつ50えん!」
頭に帽子をいくつも積み重ねてかぶり、町から町へ帽子を売り歩くちょっと気取った行商人のこのセリフを、どんな風に読むかが腕の見せどころです(少し大きい子は「50円!安い!」と合いの手を入れてきます)。
行商人はたくさん歩いて疲れたため、大きな木の下で帽子をかぶったまま昼寝をし、あ〜よく眠った!と起きたら、さあ大変。頭の帽子が全部なくなっていたのです。
さて、誰の仕業だったのか?答えは、ぜひこの本を読んでもらえたらと思います。
作者のエズフィール・スロボドキーナさんのユーモアセンス、絵や色の美しさ、この本が1970年に出版されてからずっと愛され続けてきた理由がわかるような気がします。
幼稚園や保育園で働いていた時、子どもたちは本棚に並んでいたこの本を「読んで!」と何度も持って来ました。読み終わると満足げな顔をして笑っていた子どもたちの顔が、今でも心に浮かびます。
鳥山百合子