我が家に鶏がやって来た。
友人宅を訪ねたとき、「ニワトリ、持ってく?」と聞かれ、「ほしい!」子どもたちは二つ返事した。いやいやいや、小屋もなければ、餌もない状態で、鶏もらってきてどうする、と言いたいところだったが、これもご縁なのだろう。まあなんとかなるか。いつもの根拠ない楽天的思考で、雄一羽雌二羽合計三羽を連れて帰って来た。
幸いなことに、友人経由でもらえる鶏小屋があったので、運び入れて、飼いやすいよう少し手を加えた。餌はうちにある豆や野菜のくず、コイン精米機からもらえる糠で賄うことができる。定期的な産卵に欠かせない栄養素であるカルシウム分はホームセンターで牡蠣殻を購入した。
鶏を飼う最大の目的は、卵取りだ。
うちの子たちは卵が大好き。卵料理のお手伝いなら進んでやってくれる。市販の卵は滅多に買わないので、これまでは養鶏している友人に頼み込み、くず豆や米との物々交換で卵をゲットしていた。だから、今まで卵は超貴重食材だった。卵の自給のため、いつかは鶏と一緒に暮らしたいとずっと考えていた。それが急展開で現実となったのだ。
飼いはじめてまだ数週間だが、鶏のいる生活は想像以上に心地よいものだった。
子どもたちは餌をあげたり、水を取り替えたり、毎日甲斐甲斐しく世話をしてくれる。小屋の前を通る度に中を覗き、卵が産まれたかチェックを怠らない。産み落とされたばかりの温かい卵を見つけたときは、「うまれたよ!」の叫び声とともに、大事そうに手の平で包み込んで見せに来てくれる。その表情を見るだけでも、飼ってよかった、と思う。鶏たちは、遊び相手となってくれる。末娘は「こっこ、こっこ」と彼らの後ろをついて回ってる。
子どもだけでなく大人も、彼らの存在とその癒し効果の恩恵を受けている。
家の周りを鶏が歩き、餌をついばんでいる姿は、どういう理由なのかリラックスする。コッココと鳴く声も耳に馴染み、BGMとして最高である。奥さんも僕も、小さな生き物を身近に感じて毎日ほっこりしてる。