「せんそうがおわるまで、あと2分」 ジャック・ゴールドスティン作,長友恵子訳 合同出版
第一次世界大戦は1918年11月11日午前11時に終結しました。そのわずか2分前、1918年11月11日午前10時58分に、カナダ兵のジョージ・ローレンス・プライス(当時25歳)は戦死しました。そのエピソードをもとに生まれたのがこの絵本です。
主人公のジュールとジムは、同じ日に、同じ町で生まれました。先に生まれたのはジムで、ジュールはジムより2分あとに生まれました。何をするのも二人は一緒でしたが、ジムがいつも先頭でした。2分早く生まれたジムの方が、足も速いし強かったからです。
ヨーロッパで戦争が始まったとき、二人は軍隊にはいりました。戦争はふたりが思い描いていたものとは全く違い、みじめでひどいものでした。戦場でも二人はお互いを支え合い、なんとか生きのびていました。そして、やっと戦争が終わるというそのわずか2分前…。
世の中に「良い戦争」などあり得ません。戦争はどんな大義名分があっても、愚かで理不尽でみじめなものです。平和憲法のもと、戦争をしない国であるはずの日本ですが、この平和がいつまで続くのか不安になる時があります。絵本を読んだ後、改めて戦争と平和について思いをはせたことでした。