2月が終わろうとするある日、鼻や目の奥がピリピリとしだして「ああ、今年もこの時期か」と思う。
花粉症とは大学時代からの付き合いだ。僕は杉花粉に反応するので、杉の無い小笠原諸島父島に住んでいたとき以外、毎年この季節は気持ちが重い。
その僕が、どうして杉に囲まれたこの地域に引っ越してきてしまったのか。人生って不思議だ。
発症当初、酷い時は目と喉の痒さで目が覚め、薬なしではいられなかった。しかし、「食べるもので体質が変化する」と知ってから、それまで毎日のように食べていた乳製品や甘いものを控えてみたら症状が軽減された。食事が菜食寄りになったのも影響があるかもしれない。個人差があると思うので、あくまでも僕の場合だけど。今も相変わらず目の痒みと鼻水が出るのだが、以前よりだいぶマシになった。薬を飲まず、マスクをするくらいでなんとか過ごしてる。
笹のいえの前の山は杉檜が植林され、風が吹くと黄色い花粉が放出し、霞がかかったようになることもある。目をショボショボさせながら、あの木を全部伐採してしまいたいという気持ちは花粉症の方なら理解してくれるだろうか。でも、木を切ると花粉を頭から被ることになるからやっぱり止めておこう。
花粉症に懸かる理由を調べていると、昔ほとんど耳にすることのなかったこの症状が蔓延しているのは僕ら現代人の免疫力が下がっているから、という記事を見つけた。免疫力のほとんどは腸でつくられるから、腸内環境を整えるのが有効らしい。小食にしたり、食事の回数を減らしたりすると調子が良いのは、免疫が上がるからなのかもしれない。
お酒もNG。呑むと途端に目や鼻の粘膜が充血し悪化する。毎日の晩酌が生きる喜びの僕には、これが一番堪える。飲みたいのに、飲めない。
ひたすら我慢して、花粉が去るのを待つしかない。
普段の食べ過ぎ飲み過ぎを反省し、身体に向き合う数カ月間。これはこれで必要な時間なのだろうなあと納得することにしている。