和田亜美

土佐町ストーリーズ

夏の思い出

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30年くらい前、保健福祉センターが建っているところには公民館がありました。

当時小学生だった私。

ある夏のこと。

公民館の横の木だったか、電柱だったかにとまっているセミを見つけたのです。

虫取り網を持っていなかった私は、何を思ったのでしょう、

石をぶん投げてセミを捕ろうとしたのです。

石はセミから大きく外れて、公民館の窓ガラスをぶち破りました。

(いかん!逃げようか・・・)

と思ったものの、足は動かず。

そうこうしているうちに中からおんちゃんが出てきました。

『この石、投げたのあんたかね?』

『はい・・・』

怒られるー!と思ったけれど、そのおんちゃんは

『よく正直に言うた、窓ガラスはかまんき』

と許してくれたのです。

その時の私がどれほどホッとしたか。

 

あれから30年。

あの時のおんちゃんは、町長になりました。

 

 

文:和田 亜美  絵:川原将太

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