石川拓也

図らずもTPP。あっちのTPPではありません。

土佐町在住の写真家、石川拓也がひと月に1枚のポストカードを作るプロジェクト。

2016年11月から始まり、たまに遅れたりもしながら、いちおう、今のところ、毎月1枚発表しています。

各ポストカードは土佐町役場の玄関と道の駅さめうらにて無料で配布しています。

写真:石川拓也 宛名面デザイン:品川美歩

土佐町ポストカードプロジェクト

2021 Apr. 一の谷

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一の谷 | 長野恵弦 桃也

 

地図上で土佐町を見て左上の位置に稲叢ダムがあります。

町中心部から向かった時に、黒丸とアメガエリの滝を通り越し、稲叢ダムの手前にあるのが「一の谷」。

地元の方に聞くとここは昔、石切り場でありました。

削り出された石や岩は、ロックフィルダムという石を積み上げて作る工法で建てられた稲叢ダムの建材になったそうです。

ダムの工事が終わった後、一の谷に少しずつ桜の木を植え始めた人がいました。谷種子さんというその方は、毎年休むことなく桜を植え続け、今年で24年が経つそうです。

標高が高いので、町中心部とは3週間ほどの時期の差があります。この写真を撮影したのは4月25日。

「植える人」がいてくれたから、一の谷はこの時期にも桜が楽しめる場所になっています。谷種子さんのお話は、また改めて記事にしたいと思っています。

ふたつの小さな後ろ姿は、長野恵弦くんと桃也くんの兄弟です。

 

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稲叢山 イナムラヤマ

 

稲叢山。土佐町の北西端にどかっと鎮座しているこの山は、土佐町で最も高い山でもあります。

 

 

稲叢山 いなむらやま
標高:1,506m  土佐町と本川村(いの町)の境目に位置し、入り口にはロックフィルダムとして知られる稲叢ダムがある。

 

とさちょうものがたりで「稲叢山に伝わる伝承」をご紹介したこともありました。

稲叢山(黒丸)

 

この稲叢山、いくつも登山道があるのですが、そのうちの通称「伝説の洞窟ルート」が最高におもしろいルートだったので、写真とルートを中心にご紹介します!

*番号に対応したマップは記事の最後をご覧ください。

 

❶ ゲート 登山道入り口

 

 

稲叢ダム(稲村ダムとも表記するようです)に到着すると、管理事務所の建物の右手にゲートがあります。歩行者は通れるようになっていて、登山道はゲートの向こうです。

ゲートのすぐ後ろに見える登山道もありますが、今回ご紹介する「伝説の洞窟ルート」はさらに奥。なので写真左手の道を前進します。

 

❷ 稲叢ダム沿いの道

 

稲叢ダムの湖面を左手に見ながら10分ぐらい歩きます。

 

 

❸ 伝説の洞窟ルート入り口

 

しばらく歩くと「伝説の洞窟」のサイン。ここからダム沿いの道を離れ、右手の山道に入っていきます。

少し話が脱線します。今回の「伝説の洞窟」ルートを歩いてみても実感するのは、このような登山道を整備している方々の姿。

分岐点にはきちんとこういったサインが設置されていて、どっちに行ったらいいのか迷う心配が全くないルートになっています。

後にご紹介しますが、難しい岩場には鎖や階段が設置されていたり。資材を現地に持ち込むことだけでも一苦労な場所だと思うのですが、このような労力を注いでいる方々がいるおかげで、へっぽこ山歩きの僕のような人間でもまったく難しくないルートになっているのです。

 

 

❹  分岐点

 

しばらく歩くと、このサインが。ここを右手に入っていき、ぐるっと回るように一周し、頂上到達後に左手の道からここに戻ってくるルートです。

❺  マスクを外して深呼吸  

 

「密」と対極にあるこの世界。マスクを外して深呼吸しましょう。きれいでおいしい空気で体を満たしましょう。

❻  謎のランドアート

 

さらにしばらく歩くとこんな岩場が。謎なんですが、誰かの趣味でしょうか?

どなたかが気まぐれで数本立てかけたら、後で来た方々が少しずつ足していくような流れができてこうなったのでしょうか?

人間というのは不思議なもので、この光景を目にすると自分もひとつふたつ足したくなるんですよね。僕も2本ほど枝を拾って足してきました。なんか楽しい笑

ふと思ったのですが、人の目を惹いたり、心に引っかかったりすることって、このぐらいでできちゃうんですよね。山道を歩いてここを通りかかった時に、「これ何?」と良い意味で心がザワッとする。そういう小さなざわめきの積み重ねで、この「稲叢山の登山ルート」の印象が少しずつ心の中で育っていく。

そして登山者自身が枝を継ぎ足したりして、その時にはもうなんとなく自分もその場所を作ったうちの一人というような気分にまでなっている。

何かのヒントがそこにはありそうな気がした場所でした。

❼  滝

滝です。名前はありません。けっこう壮大な岩場が急に現れるので「おお!」ってなります。

❽ 伝説の洞窟

 

「伝説の洞窟」と頂上という二つの目的地があるこのルート。

そのうちのひとつ、伝説の洞窟に到着。洞窟自体はぜひ行って確かめてみてください!

 

❾ 鎖場

 

ここは岩をちょっとだけ登らなければ先に進めないポイント。鎖があり足場も作ってくれているので、難しいことはなく登れます。作ってくれた方に感謝です。

➓ 絶景ポイント

このルートの最中にはいくつかこのような絶景ポイントが。上の写真は遥か眼下に稲叢ダムが見下ろせます。

 

 

「休憩してください」と言わんばかりのこんな岩場も。昼食を済ませてからちょっとした昼寝をするにも良い場所です。

⓫  そして頂上へ

 

「もうすぐ頂上」を示す標識。ここからが意外と長かった。

 

 

ついに1506mの頂へ! ‥と少し大げさに書きましたが、大人の足なら2時間くらいで到着するルートです。

 

 

頂上からの眺めはこんな感じ!

ぜひ実際に登ってみて確かめてください。この日の天気は薄曇りでしたが、晴天の日にはもっと遠くまで見渡せるそうです。

 

 

以下の地図が、今回ご紹介したルート。まずは稲叢ダムまでは車で、そこから徒歩で❶からスタートし❶へ戻ってくるというルートです。

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4001プロジェクト

川村友信 (古味)

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古味地区の川村友信さんです。

さめうらダムの北側に位置する古味地区。現在は3世帯が住む集落となっています。

友信さんはその古味の地区長さんです。とさちょうものがたりでは、さめうらダム建設当時のお話を集めた連載を準備中です。

様々な方に、当時の出来事や感覚をお聞きして、形にして残していきたいと考えています。

その記念すべき一人目として、友信さんにお話を聞きに伺った際に撮影した写真です。さめうらダム建設以前には古味地区は現在より遥か下方に位置していて、それは今ではダムの底になっているということも、恥ずかしながら友信さんのお話を聞いて初めて実感しました。

その記事は近々公開予定ですので、そちらも楽しみにしていてくださいね。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2021 Mar. 南泉

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南泉 | 森岡藍・知世

 

このポストカードには初登場の南泉。4月初旬に車を運転していて目に入った艶やかな桜の花に導かれるようにしてこの場所にたどり着きました。

今年は桜が早くて、町の桜はもう終わりかけています。山の上の方の桜はこれからでしょうか?

桜の前で遊びまわっているのは森岡藍ちゃんと知世ちゃんの姉妹です。

 

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4001プロジェクト

上田英一(上ノ土居)

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上ノ土居に「上田百貨店」と看板のかかった大きな建物があります。

今はもう営業をしていませんが、英一さんは長年上田百貨店を経営していた方です。

先日、英一さんの生きてきた足跡を伺いました。時代とともにご自身で商売をしてきた方の、あんな話やこんな話が出てくるわ出てくるわで興味と笑いが尽きない時間となりました。

ご自身で道を切り開いてきた方の、全て覚悟を持って引き受けている凄みのようなものも同時に感じます。

そのお話の詳細は、とさちょうものがたりの別の記事にてまた。

今回はその英一さんの、ダンディな立ち姿、のご紹介でした。

 

 

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私の一冊

石川拓也

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「ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー」 手塚治虫 立東舎

言わずと知れた漫画の神様・手塚治虫。「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」、「火の鳥」や「アドルフに告ぐ」など数え切れないほどの名作傑作を残しました。

上に挙げた名作群のように、いわゆるヒューマニスト的印象が強い手塚治虫ですが、「黒手塚」と呼ばれる闇の面があることもファンの間ではよく知られています。

その「黒手塚」が現れた時に描かれた作品は、ある意味非常にダークで鬱展開、子どもにはあんまり見せられないような(色々な意味で)エグい描写でグイグイ突っ走ります。

作品としては「奇子」「ばるぼら」「人間昆虫記」や「火の鳥」シリーズのいくつか(望郷編)など。「黒手塚」もまた非常に多作です。

人間の心の暗部・猟奇的だったり欲望まみれだったりのダークサイドを描くことにおいてもやはり手塚先生は天才的で、物語のひとつひとつが妖しく暗い魅惑的な光を放っているようです。

副題に「ダーク・アンソロジー」ともあるように、この「ボンバ!」はそんな「黒手塚」の短編が3つ収録されています。「ボンバ!」「時計仕掛けのりんご」「ガラスの城の記録」。マンガ史における貴重な資料ですね。

その中でも個人的には「ガラスの城の記録」が秀逸だと感じていますが、鬱展開というかトラウマ展開というか狂気というか。

「冷凍保存して生き続ける選択をした一族」がベースの設定なんですが、その理由が「利子が増えるから」。黒手塚の狂気を感じつつも非常におもしろい。

そしてその「冷凍保存」設定は「火の鳥 望郷編」に受け継がれ、「ガラスの城の記録」をはるかに凌駕する黒手塚の完成形として昇華されることになります。

 

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4001プロジェクト

式地虎之介 (田井)

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どんぐりで働く式地虎之介くん。この日はパンの作業中。作業の合間に撮影させてもらいました。

虎之介くんの書く文字はとてもユニークで味があって、年末年始に販売した「2021カレンダーTOKUBETUHEN」では、色々な部分にその字を使わせてもらいました。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2021. Jan

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2021 Jan. | 近藤稜真・優真

 

土佐町の最も高い場所にある集落が黒丸。黒丸の河内神社は、昔から黒丸の住人の氏神様として大切にされてきました。

ここには御神木と呼ぶにふさわしい立派な木が3本。前に立つのが槇で、後ろが杉です。槇の上部に開いている穴はムササビの巣穴だそうです、

数百年の間、黒丸の住民を見守ってきたであろう樹木。一緒に写っているのは近藤稜真くんと優真ちゃんの兄妹です。

 

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私の一冊

石川拓也

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『墨攻』 森秀樹  酒見賢一(原作) 小学館

「墨守する」という言葉の語源にあたる「墨家」 は、古代中国に実在した思想集団です。

乱世の世にあって、儒家や法家などと並んで活躍した時代もあったようですが、歴史の中でいつしか消滅していきました。

その思想は古代にあってとても稀有で、「兼愛公利(けんあいこうり)」と「非攻(ひこう)」を軸にしていました。

「兼愛」は「広く愛する」、「公利」は「自己中心的にならずに互いの幸福を増幅する」という意味です。仏教の「利他」に近いのかもしれません。

もう一つの「非攻」は文字通りの「攻めること勿れ」。平和主義の非戦論です。

「非攻」という思想を軸にして、墨家には高度な守城技術や築城技術が伝承していたそうです。つまり、守りの技術。自分たちから敵を攻めることはしないが、攻められた時には徹底的に守り抜くという姿勢です。

このマンガは、墨家の一員である革離が、趙軍に攻められている梁城に単身乗り込み、趙の大軍を相手に梁城を守るために手を尽くすというストーリー。

日中韓合同で実写映画化もされたので、そちらをご存知の方が多いのかもしれません。

 

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土佐町ポストカードプロジェクト

2020 Dec.

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時は2020年の年末、所は大谷の鏡峰寺。

鏡峰寺では、朝晩6時にこの鐘を鳴らします。鳴らしているのは住職の吉永公明さん。

毎日休むことなく、地区の方々にゴーンゴーンと時をお知らせしています。

とさちょうものがたり編集部も近くにあるのでこの鐘の音は聞こえてきます。鏡峰寺の鐘がなっているのでもう6時、というのはいつの間にかぼくの体に染み込んでいるようです。

土佐町に来て5年足らずのぼくがそうなので、もっと長く住んでいる地区の方々にとってはさらに生活必需的な音になっているのでしょう。

こういう種類の「音」の価値をどう言葉にしたらいいのか、ボキャブラリーの足りなさを痛感しますが、「体に染み込む」音である、ということは間違いないようです。

年末のある晴れた日に、和田雫ちゃんと虎哲くんの姉弟に鐘を突いてもらって撮影しました。

 

 

 

 

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